つまずいた。
両足が宙に浮き
地面に吸い寄せられる

拡大し 接近する

その刹那を人生に例えて
僕らは低下し苦悩する
痛みに備え 身構えては
時間がないことのせいにする


現れて 具体化する

その刹那を恋愛に例えて
僕らはその対象にもがく
触れられず じらされる恋心
倒れた衝撃で噛みしめる感触


つまずいて、転ぶまでの刹那
生まれて死ぬまでの限られた時間
急ぐことは、ない
そうしても人生は一瞬の出来事だから

同じだけ吸い 同じだけ吐く

僕らは平等に命の重さを与えられ
そして倒れていこうとするに過ぎない

僕が見ているモノが
過去にはなく、未来には変わり
僕に見えるのは
かつては見えず、気付いていくモノばかり

頬から伝う地熱と砂
ザラザラとしながら眠るように終わる

また立ち上がっての繰り返し
つまずいて、始まり
倒れて、終わる。

二本足で歩く頃から、これが永遠



SHI-shu に戻る

つまずいて、転ぶまでの刹那

by Shogo Suzuki