コロナも2年目に入り、自粛や延期、中止なんてことに免疫もでき始めた1年間。今年、2021年もいろんなことがあった。

1月。アメリカではバイデン氏が第46代大統領として就任。それを前に、トランプ大統領支持派が、連邦議会議事堂に乱入するという、世界の最先端を行く国から届いたニュースとは思えない映像が届く。これには、世界中が唖然とした。東京では、年末になって一気にコロナ感染者が増え、年明け早々に1都3県に緊急事態宣言が出された。そんなコロナ禍の関係からか、現役バリバリのメジャーリーガー、ヤンキースで活躍する田中将大投手が、古巣の楽天イーグルスに復帰。

2月。医療関係者の新型コロナワクチン接種が開始される。ただただ恐れるだけのコロナに対して、ワクチンという防御が希望となり、とはいえ、まだまだ接種できるのは先だろうな、と思っていた。ミャンマーでは、また軍隊がクーデターを起こし、軍事政権の国に逆戻りし、福島では震度6強という地震が発生。メルボルンからは、大坂なおみ選手の2度目の全豪オープン優勝といううれしいニュースも届いた。

3月。東日本大震災から10年が経った。この段階では、1年延期となった東京オリンピックを開催するのか否かが議論されており、半ば強引に?緊急事態宣言が解除された。まだまだコロナ感染者数が減った、という印象はなかった。昨年は中止だった春のセンバツ高校野球も開幕し、福島から東京オリンピックの聖火リレーも始まった。サッカーのオリンピック代表チームがアルゼンチン代表と戦い、歴史的な戦いを見せてくれた。

4月。3度目の緊急事態宣言で、日本中がどんよりとコロナに沈み、そんな中で、松山がマスターゴルフを制覇するという歴史的な快挙。1日のコロナ感染者が世界最大のアメリカでは、黒人暴行死に対するデモの映像が届いた。そのアメリカは、アフガニスタンから軍隊の撤退を開始。田中邦衛さん、橋田壽賀子さんの訃報。

5月。今年もGWは大自粛ムード。訃報は続き、田村正和さん死去。緊急事態宣言は、主要の都道府県に広がり、毎日、東京のコロナ感染者数がトップニュースになっていた。インドでは変異株が猛威を振るい、国内ではワクチンの大規模接種会場の準備が進められた。アメリカからは大谷翔平の活躍を知らせるニュースが、明るかった。

6月。山県亮太選手が陸上100mで9.95秒の日本新記録を更新。9秒台の日本人スプリンターが4人になって、オリンピック代表の争いも過酷になった。翌月に迫った東京オリンピックも、この段階では観客数の上限をどうするかの検討が進んでいた。香港では、中国の締め付けが強くなり、リンゴ日報が26年の歴史に幕。市民は「ありがとう」と同時に無力感を募らせた。

7月。東京では4度目の緊急事態状態に入り、熱海では大規模な土石流が発生。ヨーロッパ各地で洪水が発生し、ハイチでは大統領が暗殺された。そして、ついに民間人の宇宙旅行が始まった。東京で、延期されたオリンピックがついに開幕。無観客での開催という歴史に残る大会になった。個人的には、苦労の末、ようやく手に入れたオリンピックのチケットが、無効になった。

8月。開幕した東京オリンピックでは日本人の金メダルラッシュに盛り上がり、記憶に残るシーンが数多く生まれた。同時に、東京でのコロナ感染者数がどんどん増え、1日に5000人を超える日もあった。その東京では、小田急線の車内で乗客が切りつけられる事件が起こり、白金高輪駅では硫酸がまかれた。夏の甲子園には球児たちの熱戦が戻り、奈良と和歌山の智弁対決が決勝となった。メッシはバルセロナを離れた。フジロックでは、オリンピックの開会式で国歌斉唱を行ったMISIAが、ここでも君が代を歌い上げた。MCで彼女が放った「コロナのバカヤロー」が印象的だった。


9月。菅総理の自民総裁選挙不出馬に伴って、次の総理大臣が誰か、という戦いがあり、岸田氏が総裁に就任。アメリカでは9.11から20年が経った。デジタル庁なる組織が始動し、運転免許証や保険証のデジタル化が語られる。スポーツの世界では、女子のプロサッカーリーグ「WEリーグ」が開幕し、横綱白?が引退した。

10月。岸田総理が内閣を発足し、緊急事態宣言が解除された。衆議院選挙では自民党が絶対安定多数を獲得。国民はコロナ後に、安定を選んだ形となった。松坂世代ともいわれ、この世代を代表するスーパースター、松坂大輔、引退。ハンカチ王子として、苦しいプロ生活を送っていた斎藤選手も引退した。眞子さまは、小室圭さんと結婚して皇籍を離脱し、ニューヨークへ。そして、ハロウィンの京王線で、またしても刃物男が現れた。

11月。新庄氏の日本ハム監督就任は話題性が大きく、日本シリーズでヤクルトが日本一になったよりも目立つ形に。それ以上に、野球界を席巻したのは大谷翔平の大活躍。なんと満票でMVPを獲得した。変異株、変異株と恐れられてきたコロナウイルスが、新たにオミクロン株になって世界に懸念を与えた。

12月。日本人の民間人宇宙旅行者、ZOZO創設者の前澤氏が宇宙へ。オミクロン株が世界中で猛威を振る中、国内ではコロナワクチンの3回目の接種が具体的に。デジタル庁は、ワクチン接種証明書アプリをリリース。年末年始の国際線の新規予約を一斉に中止という岸田総理の勇み足から、予約は再開されたものの、年末年始の旅行者も、爆発的な増加はないという予想。

東京オリンピックが開かれた年である2021年。1年の延期があったので、年が明けて早々にもう冬のオリンピックが開かれる。ワクチンさえ打ったら、少しは人流も増えて自由になるかと思いきや、オミクロンに水をさされて、まだまだ慎重に行動せざるを得ない状況で年末に突入しようとしている。

なかなかパッと晴れない気分ではあるものの、新しい年には希望を持ちたいものだ。2020年が、未来の「歴史の教科書」では大きく取り扱われる中で、この2021年は、「その続き」として扱われるだろうけれど、確実に、この1年間には、怒りも、落胆も悲しみも、そして喜びも笑顔もあった。そのことは、確かだ。



→ essay top

2021
2021年12月25日