2時間10分。この上映時間があっという間に過ぎていくような「スピード感」がなんともここち良い作品。
「神の街」と呼ばれたブラジル・リオのスラム街で起こった事件を、ドキュメンタリータッチで描く。

犯罪アクションムービー…、ってことになるとは思うが、ビル丸ごと爆破したり、作りかけの高速道路を飛び越えたり、そんな「金」の匂いをまき散らす訳ではなく、もっと切実なリアルが、この作品にはある。

最強のワル三人組の一人を「兄」に持つ少年。だから…、という目で見られること、本当はそうじゃない、と言いたい不満。
【カメラ】という「武器」に出会った彼は、そんな現状を切り取っていく。

彼の少年時代、1960年代のスラム街にあったギャングの攻防、殺人、レイプ、麻薬といった、さながらニューヨークか?と思わせる状況を実話をもとに追っていく。切り取り、切り取られ、イメージを誇張し、フォーカスをずらし。この監督の撮り方に、とにかく惹かれる。

カメラを通して描く、正義と悪。迷い流されるリアルな情景。警察の不祥事か、それともギャングのボスの死か。迷ったあげくに、これからも復讐の心配がないギャングの死を取り扱うという「巻かれていく」あたり、見終わった後に非常に濃い印象を残す作品だ。



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シティ・オブ・ゴッド
CIDADE DE DEUS 2002年(ブラジル)

監督:フェルナンド・メイレレス
原作:パウロ・リンス
出演:アレクサンドル・ロドリゲス、セウ・ジョルジ、アリス・ブラガ