現在、ベネチア、ビルバオにあり、アブダビでも建設中のグッゲンハイム美術館。これは、1937年にニューヨークに誕生したのが始まり。美術品の蒐集家だったソロモン・R・グッゲンハイムによって提唱され、以降、世界有数の「いけてる」美術館になっている。設計したのはフランク・ロイド・ライト。2019年に「フランク・ロイド・ライトの20世紀建築作品群」の一つとして世界遺産に登録された。ニューヨークでは自由の女神に次いで2つ目。ここは、美術館の建物自体に行く価値があり、といえる。ぐるぐると巻貝のように配置された通路を進みながら、区切られた壁に展示された作品を眺める。ところどころ小部屋があり、そこでの企画展も毎回面白い。

坂道はなだらかで横幅に余裕があり、なんといっても中央吹き抜けが素晴らしく、見上げても、見降ろしても素敵だ。それにしても、建物美に負けず劣らずのアート作品が、わくわくさせてくれる。最上階の部屋で待ち受けていたのはバスキアだった。これまで抽象的な絵画、細長い彫刻、黒と白と原色の世界などを観つつ、所々に青の時代のピカソやゴッホの名作が現れる時間から、一気にバスキアの世界に連れられて、持っていかれるから、彼の作品の力はすさまじい。

ストリートで生きて、そこで生身の表現を貫いたバスキア。彼の中にある「言葉」が「絵」になったり「形」になるから、なんとも言えず、魅了される。美しすぎて嘆息が漏れる、といった類ではない、言ってみれば実に混とんとした、ニューヨークらしいアートだ。

それにしても、この建物は素晴らしい。華美でなく、奇をてらいすぎず、なのに強烈にオリジナル、フォルムの美しさ、そして青空とのコントラストを成す真っ白。見ているだけで楽しくなる。

ずーっと真っすぐ進むだけで、全部見られる美術館。そんなコンセプトが、本当に時間を忘れさせる。世界遺産の美術館といえば、東京だと国立西洋美術館。コルビュジエもライトも、建物の持つ力を最大限生かす技に、さすがは世界の遺産だと改めて思い知らされる。


















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Guggenheim Museum
グッゲンハイム美術館

@ニューヨーク
2019年8月27日(火)