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中房総国際芸術祭
いちはらアート×ミックス
2014年03月28日

瀬戸内国際芸術祭、越後妻有大地の芸術祭に続いて北川フラム氏が総合ディレクターを務めたいちはらアート×ミックス。まずは、晴天だったという要素が、ローカル線「小湊鐵道」の旅路を高揚させ、廃校の小学校のすべての企画を魅力的に見せた。
都心からそう遠くない距離にあって、アクセスがよく、普通の芸術祭にはない「移動のよさ」が際立つ。企業、市民、行政が一体となった芸術祭。小湊鐵道の「列車」と「周遊バス」の一日パスがパスポートについているのが本当に魅力的だ。同じ値段を払うなら、(東京の人は)びゅうを利用することをすすめる。東京と千葉間往復電車代と芸術祭入場券(パスポート)のほぼ同額で、手ぬぐいと缶バッジ、参加証などがついてくる。
まだ始まったばかり。NHKの取材が来ていて入れない作品もあるなど、GW開けに終焉するまで、もっと露出するんだろう予感がする。ただ作品を飾って、はい終わり。そんな芸術祭ではないことはある意味当然だが、おにぎりを美味しく食べるために運動会に参加する、というプログラムは、ぼくがこれを知って、一番魅力を感じたところだ(平日行ったので、週末のみ開催の当企画には参加できず)。
のどかな時間、ただの空。ただの空気を吸いながら、ハッとするほどの作品に会う。湖畔美術館と旧里見小学校を回るのが、一日の限界だった。何度も訪れて、何度も振れたい、そんな芸術祭。また、チャンスがあれば、旧白鳥小学校で運動会に参加して、小湊鐵道の車内で「ゾンビ」に会いたい。
パスポートに描かれた「参加の心得」。トイレを見つけたら行っておこうというのは、笑えるが的を得ている。上総牛久や里見など「大きな」駅ではトイレもあるが、小湊鐵道という列車、ほとんどの駅が無人。乗り込むと車掌が近寄ってきて集金する。ローカル線だけに割高だ。パスポートが助かる。

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五井という駅から小湊鐵道が始まる。この駅から、ホームへの階段を下りて、一両編成の列車が止まっているのをみた時から
今回のこの、芸術祭のすべての要素を感じる。急いでいないし、揺るがない。

あ、これ、好き!と思ったものをランダムに。湖畔美術館の地下にあった影の窓。湖畔の芝生と菜の花。牛久駅のインフォメーションの土産物屋と店員さんとのおしゃべり。周遊バスのドライバーの親切さ。旧里見小学校のグランドにいたスタッフのおじさんの親切さ。お菓子の教室、光のスペース。そして、氷の世界、校長室。マイナス30度に設定された凍り付いた部屋は、なんだかすごいな、と思った。