紅葉

(京都/仁和寺にて)

古くは万葉集に、色づいた葉を愛でる詠がある。大陸から朝鮮半島を経て日本に入ってきたといわれている紅葉狩り。大陸では「紅葉」よりも「黄葉」の方が多く、よって万葉集にも出てくるのは「黄」に色づく葉を詠うものが多い。それが、平安時代になって、「紅葉狩り」と言われるようになると「黄」よりも「紅」が一般化したようだ。

ぼくが、カナダのローレンシャン地方(オタワの北部)を訪れたとき、イチョウのイメージから「黄葉」を想像したが、真っ赤に染まる光景があった。イロハモミジに代表される日本の葉はこぶりだが、あちらは違う。大きな葉が大きな樹になり、覆い被さるように紅葉する。IT'S HOT、である。

そもそも紅葉とは、線香花火が最後の最後にパッと炎を放つように、「枯れゆく姿」である。クロロフィルという緑の色素が消えてゆき、カロチノイド(赤)やキサントフィル(黄)が表面に現れる。そして…落葉する。風はやや冷たく、陽射しの「暖かさ」が心地いい晩秋、真っ赤に燃える!でもなく、本当は枯れてゆこうとする広葉樹に、ぼんやりと、ホッとする。