今回は、ミロと日本との関係というテーマで展開されている。
若き画家・ミロは日本への興味を抱き、
浮世絵に影響を受けた。

そして、新たな表現を目指し、
描くことと、書くこと(文字)を取り入れていく。

二度の来日を経て、書も残したミロ。

彼のアトリエからは、たくさんの「日本」が垣間見れる。
スペインはバルセロナ。
ピカソ、ガウディ、ダリに並んで、ミロ美術館は丘の上にある。

絵、陶器、彫刻。彼の表現は宇宙的だ。
幼い子が自由に描くように、
かと思えば、
葉脈のひとつひとつを忠実に描いたりする。


この展覧会では、
ミロを代表する「青」の作品シリーズがないことがさみしいが、
それ以上に、「文字」と「絵」の作品、
さらにはコラージュまで。
なかなか見ることのできない作品が並ぶ。


作者不明の「ちりめん絵」をバックに友人を描いた
「アンリク・クリストフル・リカルの肖像」は、
鮮やかな黄色バックとどくとくな肌の色がインパクトあり。

「花と蝶」「赤い扇」の2作品は、これぞ緻密絵のミロ、
を思わせる。葉っぱの色、葉脈、そして蝶の緻密さ。
凝視して感嘆する。

シンプルにして、構図の良さ、淡い色使い。
こちらのほうが、ザ・ミロだと感じることも多い、
「絵画(パイプを吸う男)」。

タイトルはなく「絵画」とつけられた
きれいな赤に茶色がきいた作品は、
本当に好きだ。

曲線美。緻密に直線を引く彼が、
これだけ伸びやかな曲線を描くところが、
懐の深さを感じる。

「焼けた森の中の人物たちによる構成」は、
右上の顔が面白く、全体的な出来上がりがとても面白く、
「カイエ・ダール」9巻のステンシル2作品は、
色のコントラストと曲線が見事だ。

そして、コラージュ。
ミロがコラージュをするとこうなるのか、
と「無題(デッサン=コラージュ:浜辺」を見て思う。
個人的には「絵画(絵画=コラージュ)」が好きだ。

そのまま、書のような絵、
「アルバム13」というリトグラフに目を奪われる。

カタツムリ、女、花、星。
ミロがよく描く4つと文字が合わさり、
今回の展覧会の顔となった作品
「絵画(カタツムリ、女、花、星)」は、
ゲルニカのある聖ソフィア王妃芸術センターからやってきた。

多くの人が足を止め、見入っていた。
文字を交えて、存分にミロの世界観を現したのは「女と鳥」。

私は、「夜の中の女たち」という作品の前で、
ミロをこれでもかというほど浴びた。

日本に来て、書道を、
そして陶芸にも日本の要素を取り入れたミロ。

ミロの肉声が聞ける映像資料も、よく考えれば貴重だ。

ミロと瀧口修造との関係を様々な書籍とともに知り、
絵本、かっこいいな、なんて思って次の部屋に行くと。

「絵画」と題された3作品が圧倒する。

白と黒、そして丸。墨汁がたれるような自然の流れも、

実に芸術だった。

くちがぽっかりあく感じ。
この三連作は、大人も子供も圧倒されるに違いない。
ただ、黒くぬり、塗らずに白となり、
線を引き、丸を描く。

その「ある・ない」バランスが、見事なのだ。

「マキモノ」も面白かった。
日本をオマージュしたミロの世界観。
見えてるものが違い、
見ているものも違い、
そして、描き出すものが全く異質。
だから特別なのだと改めて思わせる。

ミロのアトリエにあったという赤べこを見ながら、
ミロの空間を後にした。充実した展覧会だった。






























※作品の画像はすべて公式ホームページより


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Joan Miro and Japan
ミロ展ー日本を夢みて

@Bunkamura ザ・ミュージアム
2022年3月20日(日)