2000年9月2日(土)
9日目

イスタンブール



8時半に起床。延泊の朝だ。
スーペリアクラスでの目覚めは最高。やっぱりバスルームが良いのだ。11万トルコリラするミニバーの水を飲んで、顔を洗い、朝食付きなのでダイニングに向かう。このホテルは空港から本当に近いのだろう。発着の音が聞こえる。朝食の前にフロントでチェックアウトの時間を聞くと、空港までのピックアップタイムまでという。こりゃラッキーだ。ピックアップ時間は午後2時半なので随分ゆっくりできる。

このホテルの朝食はアメリカンブッフェスタイルで、もちろん今までに経験したことのない様な豪華なものだった。ポテトとオニオンを痛めた物、不思議なくらい綺麗な色をしているスクランブルエッグ、ソーセージ、フランスパンにクロワッサン、チョコドーナツ、オレンジジュースをトレイにのせ席に着いた。コーヒーは席までポーターが持ってきてくれる。素晴らしい。味も美味いし、下手をすれば僕の夕食に匹敵するほどの充実ぶりだった。ダイニングの窓からはホテルの前を通るハイウェイが見える。周りには何もない。

昨日のスコピエの女性にまたあった。彼女とは同じ境遇で、しかも彼女の場合もう1泊ここに泊まるのだ。会う度に会話する時間が増え仲良くなる。しばらくするとHさんが来た。彼かトルクミニスタンからここまで来て、当初の予定通りストップオーバーをしている。ちょうど僕がロンドンへ行くとき、シンガポールで航空会社持ちのストップオーバーをしたときと同じだ。あの時はシンガポール市内のエクセルシオールだったっけ。今回彼は1人で天然ガスのでる村まで視察に来ており、2週間後まったく同じルートで7人を引き連れ来るらしい。今度は1ヶ月ほどの滞在になるらしく、本格的だ。トルクミニスタンの首都アシガバードからその天然ガスの出る村まではプロペラ機で移動するらしいのだが、その値段がなんと2$。これはかなりの驚きだった。そのプロペラ機は市民の足になっているので料金設定がバス並であるという。彼の仕事が何なのかは明確ではないが、そういった資源の供給元を掘り出し、日本に輸入しているのだろう。そのトルクミニスタンの村では、日本人村の様に囲いがあり、天然ガスを掘り出すスタッフが一つのコミュニティーを作っているという。僕はその国の名前さえ知らなかったので興味津々に話しを聞いていたが、僕が仕事としている観光資源はなさそうだと言うことはすぐに分かった。

朝食を終えて、部屋に戻り、CNNのワールドスポーツニュースを見ながらのんびりする。USオープンテニスのニュースが流れ、あぁ2年前は丁度この時期にニューヨークにいたことを思い出した。部屋掃除のおばちゃんが何度も部屋をノックする。まだチェックアウトしていないことを告げるが英語が通じない。昨日タバコを持ってきてくれたポーターもそうだったが、フロント以外ではやはり英語は通じないのだ。日本だってそうだろう。いくらヒルトンホテルであろうとお掃除スタッフが英語を話せるとは思えない。少しホテルの周りをぶらつく。暑い日差しと何もない風景にすぐ飽きてロビーに戻った。

エレベーターで気付くことがある。トルコでもロシアでもそうだったが、エレベーターに開くのボタンはあるが、閉じるのボタンはない。自分の降りる階を押せばそのうち閉まるのである。よく考えれば閉まるなんてボタンは不要なのかも知れない。日本では乗り込んだら即締めて早く目的階まで行きたいと思うが、そんな事はこのような国にはない。日本人のセコセコした性質が露呈されているような気がしてくる。だいたい会社があるから乗り遅れた飛行機に対してこれほど焦っている僕もれっきとした日本人なのだろう。日本の社会、会社では有給休暇を1日延ばすなんてどのような理由があるにせよ肩身が狭いのだ。だいたい、残業をすればするほど仕事してると言うイメージが蔓延っている以上、治らない症状だろう。僕はそのような価値観を根本的に否定する。

自動開店ドアをくぐり、ロビーにはいると日本人が1人座っていた。名前はJさん。雑誌の編集者にて、そこを退職し、ヨーロッパをしばらく回っていたらしい。ドイツに友達がいるのでそこが中心だったらしいが。彼もまた、昨日のフランクフルト発の便がディレイして昨日の関空行きの便に乗り遅れたという。僕と一緒だ。彼のチケットは今日の午後7時にイスタンブールから北京に飛んで、そこでトランジットし北京から関空に飛ぶ。関空につく時間が明日の午後2時半なので僕もそのルートで行った方が早く京都に着く。なぜこのルートではないのか色々考えた。彼のチケットを見ると北京から関空便がコンファームされておらずリクエスト中なのだ。よってまだそれで帰れるかは分からない。僕は全てOKステータスなので安心だが。その事を彼に軽く伝えて、空港で聞いた方が良いんじゃないですかとアドバイスしておいた。彼と午後1時半頃まで話して、部屋に戻ってシャワーでも浴びようとする。部屋に戻るとカードキーが無効になっている。またフロントに降りてカードを使えるようにしてもらい、シャワーでも浴びようとすると、電話がなり、ピックアップタイムは午後2時だとリコンファームされてしまった。えっ?もうシャワーを浴びる時間はない。結構散らかったバッグを整えて下に降りた。Hさんはもう来ている。午後2時にチェックアウトする。日本への国際電話とコーラ、水でなんと56$。国際電話の時間は7分だった。やっぱり国際電話は高い。しかもホテルからだとなおさらだ。そこにきて7分間も話してしまったのかぁ。まぁこのような事態が起こったのだからしっかりと説明する義務がある。ビザカードで払った。

ピックアップカーで空港へ。車内は僕とHさん、そしてイラン人のおじさんの3人。イラン人のおじさんも昨日トランジットが出来なかったらしい。どうなってるんだトルコ航空。まぁ昨日は特別なのだろうが。彼ともたわいもない会話をしていた。イラン人の彼が言っていたことでなるほどと思ったのが、彼が知っている日本語は「コンニチハとサヨナラ」だというので僕がイラン語でサヨナラは何というのか聞くと「☆○×△」とよく分からないが教えてくれた。そのあと、「でもバイバイで充分だ。日本でもそうだろう?バイバイはインターナショナルワードだ。」という。確かにそうかもしれない。

だいぶ早めに空港に着いたのでHさんとカフェをしたりで時間をつぶす。空港で残ったトルコリラを米ドルに替える。まら10万トルコリラが半端で返された。結局7ドルにかえる。カフェで2.4$のコーヒーを飲んでそのお釣りをリラで返されたので最終的に60$余ったことになる。これを成田空港で両替して、羽田までの移動費と関空から京都までの移動費にしなければ。

チェックインカウンターに行き、Hさんと別れ、トルコ航空1022便成田行きの搭乗を待ちながら日記を書いている。

これから乗る飛行機はモスクワの上空を通って東京まで行くのか。あぁー、随分遠回りをしている気になる。それにしても成田から羽田の移動がだるい。



2000年9月3日(日)
10日目

イスタンブール→成田→関空



飛行機に乗り込んだのはほぼ定刻通りだった。こりゃおとといの関空行きも定刻通り出たに違いない。モスクワからの機内でその時間なんてとっくに過ぎていたのに、その頃の僕はドキドキしっぱないしだった。バカみたいに話しだ。この帰りの便の席はひどい。関空からイスタンブールに来たときは後ろから2列目の通路側でそれでもいやだったのに、今回は最後列のしかも真ん中。隣はどぎつい関西弁の夫婦。もう勘弁して欲しかった。寒さには対応して長袖のシャツを持って入ったのだが、シートのからさには相変わらず困った。成田までは11時間のフライト。よく考えれば成田空港に着くのは初めてだ。日本の首都東京の玄関口。もちろんフライトの半分以上は眠っていたのだが、着陸の際は見えにくい窓を必死で覗いた。左となりの窓側2席にはインド人が座っている。じゃまだな。機内にいた日本人スチュワーデスに成田から羽田までの移動を聞くと、込んでいなければリムジンバスが一番速いという事だった。道が空いていれば1時間半で行くという。でも、この飛行機が成田に着くのが午前11時で午後2時半のフライトなら間に合うでしょう、と。が、それは全て道が空いていればの話しである。もう成田からの便に振り替えてもらえないだろうか。また乗り遅れるなんてご免だ。

結構焦る気持ちを抑えながら成田へ向け高度を上げる機内から外を見た。ザッツ・カントリー。なんだ?ど田舎だ。まぁ成田空港なんてかなりの郊外も郊外にあることは分かるが、あそこまで田舎だと少しビックリだ。飛行機から焦って降りて焦って入国する。もう、また止められた。荷物をドンドン開けられチェックされる。とにかく早く羽田まで移動したい僕は相当に焦ってそれが動揺しているように思われたのかなかなか通してくれない。パスポートのスタンプの数と一人旅というのがここで掴まる最大の理由。やっと通されまず両替。60$を6,180円(1$=103円)。下がってる。まぁ60ドルなのでそんなに影響はないが。リムジンバスのチケット売場で混み状況を聞くと今のところ1時間ほどで羽田空港まで移動できます、というのでリムジンバスで移動することに決めた。成田空港と羽田空港を75分でつなぐリムジンバスは3000円。日本に帰ってくると3000円なんて言われても素直に払ってしまう。ロシアで750Pだと言われると絶対に乗らないが・・・。やっぱり日曜なので救われた、道が空いていたのだ。

携帯の電源を入れ、メールをチェックする。なんと、ローマであったLが今日からトルコに向け出発するため、今成田空港にいるという。会いたかった。僕はそのトルコから成田に来たのだ。彼に電話したが留守電だった。リムジンバスに乗り込み1時間ちょっと。道は空いていた。成田から羽田はかなり遠い。あまり関東の地図は頭に入っていないので分からないが、千葉から神奈川までの移動なのだろう。よく考えると関空から伊丹までも和歌山から兵庫までの移動なのだ。この1時間で飛行機なら東京から大阪まで行けるのだ。羽田空港でJAL347便にチェックインする。カウンターでアメリカン航空のマイルを貯めておいた。14:40分のフライトを待ちながら日記を書く。羽田空港からガラガラのJALに乗って関西空港に着いたのは午後4時前。トルコ航空の国際線より広い飛行機だった。それにガラガラ。あんなにガラガラなら成田発便に振り返られたのではないだろうか。一度聞いてみればよかった。そんなシステムがあるのかどうか分からないが・・・。やっぱりJALの乗務員の親切さが身にしみる。関空からは16:18発のはるかで京都駅へ。すごくすごく混み合ってるはるか。自由席だからだろう。京都駅から地元の駅へ行き、そこからタクシーで帰宅。

なんとか、予定より1日半遅れで、今回のロシアの旅、無事終了。


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