始まりは、軽やかに弾かれるギターから。「僕のギター」は、スピッツならではのサウンドにボーカルが溶け込んだ名曲。

♪長い月日を一緒に 過ごしたこのギター
 新しい地球の音を 見方につけた
 そして 君を歌うよ
 小さなことが 大きな光になってくように
 かき鳴らしては かき鳴らしては 祈ってる

2曲目、デジタルな音から、「桃」。見事に同じ温度感で1曲目から繋がる。壮大な1曲の部編成のよう。サビまでの流れ、そしてサビ。良く言えば、統一感が妙だ。「切れた電球を今 取り替えれば明るく 桃の唇 初めて色になる」という歌詞の世界は、さすが草野正宗だ。

続いての「群青」は名曲。これは、スピッツならではの、独特の世界観が出た一曲。変わらない良さを感じさせてくれる。

♪どれほど遠いのか知らんけど
 今すぐ海を見たいのだ
 明日とか未来のことを
 好きになりたいな少しでも

 こだまするように その名前を呼ぶ
 ころんで起き上がる愚かな
 僕はここにいる すでにもう奇跡
 花が咲いているよ

優しかった時の/心取り戻せ/嘘つきと呼ばれていいから/鳥を追いかけて/裸足で駆け出す/青く染まっていくよ、、、で、タイトルが「群青」。名曲だ。

そして、ここでちょっと転じる一曲「Na・de・Na・de ボーイ」。明大前で乗り換えて街に出た「青年」が、糸が切れて駆けていった先、楽しすぎる中でも巻き巻きが壊れてしまったりもするけど、あきらめないで、その先で流れ星が見えた、と。

そこからの「ルキンフォー」、「不思議」「点と点」は、このアルバムの中で、スピッツに心地良く漬かれる時間。

♪ルキンフォーめずらしい生き方でもいいよ
 誰にもまねできないよな
 燃えカス時代でもまだ燃えそうなこの
 モロく強い心君につなげたい
 かないそうな気がしてる

♪君で飛べる 君を飛ばす
 はぐれ鳥追いかけていく

♪まっすぐに君を見る ナナメの風ん中
 どうでもいいことなんて 無くなる
 昨日の朝めしも 思い出せそうだし
 一緒に行こうよ

そして、名曲「P」。もうこれはイントロから染みてくる。個人的には、一番すきな歌。

♪全部それでいいよ 君はおてんとうさま
 果てそうな時も 笑ってくれたよ
 電話しながら 描いたいくもの
 小さな花 まだここにある
 時は流れてゆく すべり落ちそうになる
 はぐれてなんぼの純情だけど

 抱きしめた時の空の色 想い出になるほど晴れ渡る
 こんなして再び会えたから 話そうとするけれど何でだろ?
 知らぬ間に戻される 恥ずかしき炎

続いても名曲「魔法のコトバ」。こんなにも心地良いベッドに寝転ばせてくれて、そこに気持ち良いことばとリズムを届けてくれるスピッツが、妙に染みる年頃がある。

♪魔法のコトバ二人だけにはわかる

後半に入って、「トビウオ」。これぞ草野正宗ワールド。♪波にもまれ トビウオになれ ギラギラ太陽 うれしいってもっと 素直に言えたなら。このサビのリズムが心地良すぎる。続いての「ネズミの進化」。♪始めの気持ちをふりしぼり 予選で負けても立ち上がる 本音はごまごまあるけれど ひざこぞう はらって 立ち上がる。いつか目覚めたネズミになる。実に詩的。

「漣」。アルバムのタイトルにもなったこの一曲は、ここで言いたいことの集大成のような。

♪現は見つつ 夢から覚めずもう一度
 四の五の言わんでも 予想外のジャンプで君に会うのよ

真下に感じるさざ波がきらめいて、夜が明ける。そんなこれからの歌。

最後をしめるのは「砂漠の花」。

♪はじめて長い夢からハミ出す
 考えてやるんじゃなくて 自然にまかせていける
 砂漠の花の 思い出は今も
 僕の背中をなでる 生きていく力をくれたよ

背中を押す強いモノではなく、背中をなでる。そんなやさしくて、さりげない生きていく力。ここにスピッツという存在感を感じる。

全13曲。一枚のアルバムが、一枚の絵のように繋がる統一感。そしてそれぞれの特別感。ゆったり、まったり、どっぷり漬かれる一枚だ。



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さざなみCD
スピッツ(2007年発売)

僕のギター

群青
Na・de・Na・de ボーイ
ルキンフォー
不思議
点と点

魔法のコトバ
トビウオ
ネズミの進化

砂漠の花