SETOUCHI TRIENNALE 2022
瀬戸内国際芸術祭2022

@ 直島
2022年10月8日~9日
瀬戸内の穏やかな気候と風土にアートがベストマッチの芸術祭、瀬戸内国際芸術祭。このトリエンナーレもずいぶん定着したし、千葉や新潟など全国に広がった。直島、この島はアートの始まりのような気がする。

特に、コレを見る!と意気込んで訪れる美術館とは違って、ぶらぶら歩いて、ふらっと立ち寄ったり、ばったり出会うアート。この風土に溶け込んだ感じがなんとも心地よい。特に、それが島となると、格別だ。

直島での周り方は単純だ。エリアは大きく分けて3つ。ベネッセハウスが「完全なアート空間」を創り上げているエリア、そして岡山や高松からのフェリーが行き来する港の宮ノ浦エリア、それと本村エリア。

ベネッセハウスの宿を取るのはなかなか難しいので、拠点は宮ノ浦がおすすめ。何をするにも便利だ。大竹伸朗の直島銭湯「I(ラブ)湯」でお風呂に入ったら、お隣のバーレストランLittle Plumで食べるもよし、地元の食堂に立ち寄ったり、うどんを食べたり。

夕暮れから夜のライトアップが港ではあざやかで、その光景は忘れられないものになる。草間彌生「赤かぼちゃ」は、ベネッセハウスにある黄色い南瓜(台風で流されてから復活したばかり)とはちがって、ある意味遊具。中に入っても驚きのアート作品だ。青森の美術館にあったような感じ。他にも、妹島和世 + 西沢立衛 / SANAAの「海の駅なおしま」、ジョゼ・デ・ギマランイスの「BUNRAKU PUPPET」、藤本壮介「直島パヴィリオン」。特に直島パヴィリオンは、夕暮れと夜のライトアップが素晴らしい。

本村エリアは、まさにブラブラ歩いてアートを愛でるコトの出来るエリア。もちろん中心は家プロジェクト。特に「はいしゃ」はすごい。個人的には、三分一博志のThe Naoshima Plan 「水」が一番のおきにいりだった。小学5年生の息子は、ぼんやりと座って眺めながら、まるで京都の竜安寺の庭をながめているような、ある意味、禅の境地のような。

美術館エリアは、地中美術館を初め予約必須の場所が多い。この地中美術館は、美術館がアートそのもので、クロード・モネ、ウォルター・デ・マリア、ジェームズ・タレルの作品があり、全体として安藤忠雄の建築デザインの中に溶け込んでいる。こんな美術館はみたことがない。作家や作品という紹介がまったく通じない、なんというかアートのための館であり、館ごとアートなのだ。これは実際に行ってみないと、なかなか理解しがたいほどのアートだ。

このエリアのもう一つのポイント。杉本博司ギャラリー 時の回廊も見逃せない。こちらも予約が必須だ。カラス張りの茶室と回廊が、時空を越えて浮かんでおり、向こうに見える瀬戸内海とのバランスが見事だ。ラウンジで頂く茶菓子とお茶もほっこりするし、もちろん、写真ギャラリーも、圧巻だった。

車で3つのエリアを移動して、それぞれのエリアは歩きで回るか、レンタサイクルでのんびり回るか。せかせかせずに、ゆっくり、気の向くまま、アートを歩くのは、本当に気持ちがいい。


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