アーグラー (インド)

タージ・マハール

歪んだ真珠の美しさ、もあるだろう。装飾を凝らして荘厳に仕上げる美、もあるだろう。が、このタージ・マハールは、「完璧な美」なのだ。それは左右対称というだけでなく、周りの緑の具合、青空の加減、そしてなにより白亜の主張。周りの空気も取り込んだ、計算し尽くされた美を、ここに見ることができる。

ムガール帝国の皇帝シャー・ジャハーンが、22年の歳月を費やして造らせた廟。総大理石。皇帝は、妃の死を悼んで建設したと言われる。向かいには、真っ黒な廟を造ろうとしたが、それが実現することはなかった。その幻の「黒い廟」が完成していれば、皇帝自身がそこに眠ろうとしていた。

大気の汚染が、白亜の大理石を黄ばませているということから、ここ近年、タージ・マハールの周囲には交通規制が敷かれている。

2007年7月、スイスの民間団体「新・七不思議財団」が、歴史的建造物の保護を世界に訴えようと、インターネットと電話による一般投票をおこなった。9000万件以上の投票の結果、タージ・マハールは新・七不思議に選ばれている。世界遺産であることは言うまでもなく、一般の人が良いと認めた代物だ。

遠目に眺めて良し、近づいて壁面の模様を凝視しても良し。さらには、暑いインドの、汗ばんだ腕を、大理石の壁面にぴったりつけるとひんやりしてこの上ない。三拍子そろった美に、うっとりしてしまう。

あ〜、観光客がこれで少なければな、、、と思ってしまう。インドに行ったらまず見よう、というより、このタージ・マハールがかろうじて真っ白なうちに、つまり今のうちに、これを見るためにインドに行く。そういうスポットに違いない。

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