うどん県・香川の名店、こちら山内うどんはいろんな想像を超えてくれる。まず、香川県のさぬきうどんでS級に指定された店であるというハードルを軽々超える「麺」はもちろん、あつあつやひやあつの「出汁」が素晴らしい。そのハーモニーに感動する。また、行列が当たり前の人気店ながら、対応はとても暖かく、田舎ならではの温度感が漂う。秋に行けば栗が売られて、近くの畑で採れた野菜は「ご自由にどうぞ」と段ボールに詰め込まれている。

うどん（麺）にも香りがある。それを感じられるのもうれしい。コシがあるとか、太さがいいとか、そういう細かいところを書き始めれば、結局、全部がいい、ということに行きつく。提供する側は、そんな大そうに食べるもんじゃないよ、と言わんばかり。天ぷらはドンと並び、サクサク、揚げたて、というチェーン店のような提供をはなからするつもりはないようだ。私はシンプルに、出汁とうどんをネギだけそえていただいた。本当に、想像以上の旨さだった。

立地もいい。町なかから車を走らせてようやくたどりつくのどかなところで、昔、「UDON」という映画でみた製麺所巡りを思わせてくれる。山奥（でもないが）の雰囲気もあり、建物のアジが、麺の味にほどよいスパイスとなっている。近所に住んでたら、と思いたくなる名店だ。