2020
2020年12月27日
コロナ、コロナで一年が過ぎたような
2020年を振り返ろうと思う。

1月、千葉の名の入った「時代」、チバニアンが正式に決まり、神戸では阪神大震災から半世紀が経った黙とうが行われた。イギリスがEUを離脱し、高校サッカーではキング・カズの後輩たち、静岡学園が24大会ぶりの優勝に輝いた。

この時、中国の武漢では新型肺炎が蔓延しており、この先、これだけ未曾有のパンデミックになろうとは、まだ誰も思っていなかった。

槇原敬之容疑者がまた麻薬か、という驚き、野村克也さんの訃報も届いた。世間では、まだ東京オリンピックの話題も多く、聖火リレーが始まり、都内でもリハーサルが行われていた。アメリカのアカデミー賞で、なんと韓国映画「パラサイト」が史上初めて外国映画として作品賞を含む4冠に輝き、韓国エンターテインメントの底力に拍手を送った。

2月の最終土曜日、FC東京は昨年覇者のマリノスをホーム味スタに迎え、ホーム開幕戦を迎える予定だった。私たち家族もチケットをとって、応援に行く気満々だった。のに、中国・武漢の新型コロナが蔓延して、いよいよ日本でも自粛の波がやってきた。

3月2日の月曜日から、突如、全国の小中高校がいっせいに休校。この段階ではまだ2週間の休校で、これが春休みまで延期され、その先もずっと続くとは・・・。とにかく、外出しなければ落ち着く、と思っていた。最悪でも、ゴールデンウイークにはさすがに「普通に戻る」と思っていた。

学校が休みになると、各企業も働き方を取り繕って、とにかく朝のラッシュもない「在宅体制」にとり急ぎ突入。東日本大震災から9年、地下鉄サリン事件から半世紀という話題よりも、連日、新型コロナのニュースだった。特に、欧米各国に感染が広がったことが、全世界自粛ムード、ロックダウンの雰囲気を作った。

まだまだ新型コロナ感染症の姿もわからず、処置もまちまちで、感染者の死亡が相次いだことから、誰もが外出を控え、ステイホームだった。学校は、休校のまま、卒業・入学の時期を迎え、該当の生徒たちがかわいそうだった。春のセンバツ高校野球中止は衝撃だった。そんな中、東京マラソンで大迫傑さんが日本新記録を達成した。

そして、最も大きな衝撃、ついに7月に開幕予定の東京オリンピック・パラリンピックが延期になった。21年7月に開催。この大きな岐路にたって、日本全体が完璧に自粛ムードを高め、通勤するというスタイルはなくなり、登校するという姿も消えた。

4月。新学期、新年度。入社式もオンライン、入学式も延期というステイホームの中で始まり、演劇、展覧会、映画などすべてといっていいほど中止になった。テレビも撮影できずに再放送が増え、通常とは違うことこそが普通、といった毎日を送ることになった。

4月7日。東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に緊急事態宣言が行われ、4月16日に対象が全国に拡大された。ここからは、巣ごもり、おうち〇〇がもてはやされ、国民には一人一律10万円が支給された。プロ野球もなし、Jリーグもなし、岡江久美子さんのコロナによる訃報は、衝撃をもって受け止められた。

ゴールデンウィーク終了まで緊急事態宣言が続いたために、各観光地は大打撃を受け、人が「動かない」ことで生まれない利益、それで損害をうけるすべての業種が限界においやられた。

いついつまで我慢すれば大丈夫。そういった期限のないウイルス相手のステイ(停滞)は、ワクチンができるまでは、ずっとこうだな、という漠然とした不安が襲ってきて、廃業する小売店が続出した。中国のようにゼロ・コロナを声高に言い放つところ以外、つまり世界中はアフターコロナはつまり、ウィズ・コロナだという対策を講じ始める。

新しい日常、ニューノーマルの始まりだ。

6月、コロナ第一波と後に称される波を超え、プロ野球が無観客ながら開幕。Jリーグもその後を追い、都内の通勤電車も以前ほどではないとはいえ、人が戻ってきた。県をまたぐ移動の自粛解除にともなって、週末をはさんで感染者数が増え、このままなら、東京で1日の感染者が200人を超えてしまうかもしれないぞ、なんて言っていた時期でもある。

7月になると、夏休みには「人」を動かさないと、観光業、飲食業を中心に《経済で死んでしまう》ということが叫ばれ、国は、Go To キャンペーンを開始。九州では豪雨が襲い、コロナ対策の中での避難所暮らしという泣き面に蜂。三浦春馬さんの自殺が衝撃だった。

短縮された子供たちの夏休みは短く、東京から帰省するのがはばかれる状態で、帰省ラッシュの混乱はなく、安倍首相は、辞任を表明した。レバノンの首都での大爆発、モーリシャスの美しい海を汚した商船三井の貨物船座礁と大きなニュースが続いたが、交流試合とはいえ、高校球児の甲子園での姿は、夏を感じさせた。

9月。とても静かに、菅内閣がスタート。7年以上も続いた安倍総理からは、菅さんはどうしても官房長官という印象だった。大坂なおみ選手が、U.S.オープンを制し、黒沢清監督はベネチア国際映画祭で銀獅子賞に輝いた。竹内結子さんの自殺は、また衝撃をもって知らされた。

10月。Go To トラベルキャンペーンに除外されていた東京が追加。いよいよ本格的に人の移動が活発になる。大統領選で暴言だらけ?のトランプ大統領が新型コロナに感染し、フランスではコロナ感染が再び広がって外出制限を再度発動する状態に。

11月。アメリカの大統領選で、バイデン氏がトランプ氏を破り、史上最高齢での大統領就任が確実に。ヨーロッパでは、各国でロックダウン状態に逆戻りし、クリスマスシーズンまでストップ状態に入る。サッカー界のスーパースター、ディエゴ・マラドーナ逝く。

以上、時事通信参照。

12月。これまで東京だけが300人だ、400人だと、1日の新型コロナ感染者の数に驚いていたところ、大阪、愛知、北海道など、続々と感染者数が爆発し、日本全体で1日数千人の感染者がでる状態になる。特に重症者、死亡の数が増え、病床の確保、医療崩壊が近づくも、Go Toキャンペーンは続行。飲食業に時短のお願いをするにとどめる。経済活動と感染対策の両立、という姿勢にしがみついているような印象だった。

12月も半ばを過ぎると、東京での感染者数が600人を優に超え、800人以上の感染者がでる。全国一斉にGoToトラベルが停止。私自身も、発熱によってPCR検査を受けた。マイナスか、プラスか。陰性と陽性で、その後の暮らしが大いに変わる結果待ちの1日の自宅隔離は、想像以上に気苦労が多かった。コロナに感染する、というのを身近に感じ、より一層の引き締めを感じる年末となった。

中国の武漢で発生して1年。ここまで混乱と恐怖をまき散らした国は、ケロっとした顔をして、アフリカなどにワクチンを提供してスター気取りだ。これ、バレバレですよ、と声高に言うのもばからしいほどのコロナ禍で、まだまだ先の見えない年末を過ごしている。

2020年は、流行語「3密」、今年の漢字「密」。とにかく人と接したら感染するから、リモートで、できるだけ触れないでおこうという、ウイルス感染のパニック映画さながらの日常を普通にした、歴史的な年となった。

今日、12月27。昨日の新型コロナウイルス感染者数は、東京都で1日の感染者が最大の949人。日本全国の感染者数も1日としては最大の3883人になった。何よりも重傷者の数が654人。医療体制の限界が心配される年末年始となった。

スーパーアイドル「嵐」が休止前の怒濤の特番、M-1チャンピオンはマジカルラブリー、巣ごもり・寝正月が推奨される今年は、ネットフリックスに、ついついアクセスしてしまうような。

そんな2020年が過ぎようとしている。




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