2001年3月23日(金)
8日目

ビクトリア・フォールズ〜ヨハネスブルグ


夕べは電気もつけたまま、午後10時に眠った。途中で目覚め、ファンと電気を消した。
朝6時には目覚める。さぁ、アフリカを発つ朝だ。パッキングもしっかりして、顔を洗い、椅子に座ってタバコを吸う。静かなところだ。ファンがゆっくり回り、腕時計のきしむ音さえもはっきり聞こえる。

朝食は昨日と同じ。メニューも同じなので、ポテト、ベーコン、ソーセージをとり、コーヒーを運んでもらう。アメリカン・ブッフェスタイル(卵は相変わらずその場で焼いてくれる)は、コーヒーだけは運んでくれる。ナイロビでもマサイ・マラでも、ここジンバブエでも。

ライターは夕べから何度も石を削って、奇跡的に小さな火がともる程度になっており、外のテーブルでは風に負けていっこうにつかない。ウェイトレスにマッチを借りる。そのまま一箱もらおうと思っていると、「You Finish?」とマッチを回収に来た。

部屋に戻ってからもタバコを吸うために何度も何度もライターをするが、つかない。外で話していた清掃員にライターを持っているかわざわざ聞きに出たが、彼らは吸わないらしく持っていない。レセプションでライターを手に入れようと、聞くと、使い差しのマッチをくれた。今度ばかりは、返してと言われないうちにポケットにしまう。ちょうど昨日と同じレセプションの男性だったので、昨日言ってたビザカードから現金をだしてもらうことを確認する。これはかなりついでだ。もしライターが切れていなければ、タクシーに乗って空港に行くギリギリの時間にレセプションに行ってたところ。その男性は、なにやら「このホテルでは現金化できない」という。

はぁー?シティーセンターの銀行までいかないとダメだとシャーシャーと言う。おいおい、って感じだが、幸い、まだ飛行機の時間まではギリギリ残っている。この男性は良い人で話も真剣に聞いてくれるが、アドバイスがいつもずれているのが玉に瑕だ。

この時点で午前9時前。
今からシティーセンターまで往復して、9:45には空港に向けてタクシーに乗らなければいけない。往復で普通なら1時間かかることから考えて急がないといけない。走る手前のスピードで銀行を目指す。こうゆうとき銀行がシティーセンターに一つしかないのがいたい。雨だろうか、滝の水しぶきか、そのミスト状のそれを浴びながら、険しく、焦った顔で、我、急ぐ。

昨日偽札を換えてしまったWIMPYというバーガー屋の前には相変わらずブラックマーケットの両替商がタムロしている。顔さえ見れば思い出せるかと思い、通りすがら見るが、時間もないし、先を急ぐ。そこから少し進むとZimbankという銀行がある。ビザカードから米ドルを出したいというがやはり無理で、外にあるATMからジンバブエドルをおろす。行員にタクシーで空港までいくらかを聞くと、1000Z$以下だという。ホテルでは1200Z$だからやっぱり高い。が、とにかく、この時点で、ジンバブエドルをキャッシュで200$持っていたので、1000Z$(2200円)をおろした。

このシティーセンターまでの往復で信じられないほど汗がでる。飛行機泊となる今日に向けて汗くさいシャツはごめんだったのに・・・。まぁ、昨日は昼食も夕食もスプライトと水しか飲んでいないので、それが一気に吹き出したのだろう。蒸し暑いというもの、そしてかなりの距離を急ぎ足で歩いた事も、もぉー、あぉー、全部絡んでのことだ。40分くらいでホテルにもどり、汗を拭いてからレセプションへ。タクシーを呼んでもらう。待っていると、一人のドライバーが寄ってきて、「空港まで600Z$でいくぞ、ホテルで頼むとくそ高いぞ。」と言う。確かにホテルで頼むと1200Z$といってるからくそ高い。このホテルにチェックインするとき、レセプションで空港からこのホテルまでUS20$だった事を高いかと聞くと「高いよ〜」と言ってたのに、ホテルから空港まで、米ドルなら20ドルと言ってる。銀行でも1000Z$もしないといっていたので、その600Z$ドルで行くというそのドライバーに興味を示し始めると、レセプションの男性が両手を振り、ダメだ、ダメだと言う。その後、しばらく待って、ホテルが呼んだのか、たまたま来たのか分からないが、レセプションの人が一通りメーターなどのチェックをして、そのタクシーに乗る。どうもレセプションでタクシーを呼ぶように電話してくれていたのだが、通じていないようで、そのときに白人男性が部屋から水が漏れてると苦情を言いに来ていたので、男性はてんてこ舞いだった。別のレセプションの男性に呼ばれるままにタクシーに乗り込み、ジンバブエドルで払うことを確認してから乗り込んだ。

出発の朝、このビクトリア・フォールズの町は晴れ渡っていた。

空港までは本当に一本道。森の中をずーっと続く道をいくと、タクシーが赤かったことも手伝って、“緑の中を走り抜けてく真っ赤な「タクシー」”と歌いたくなる。小屋で民芸品を売る人達やヒッチハイクをしている現地人が目立つ。途中で、ドライバーが「シートベルトをしてくれ」と言うので、それにしたがう。「ポリス?」と聞くと、ドライバーは必死にメーターを始動させ、だいたいの距離に合わせながら「そうだ」と答えた。またまたメーターを止めて走っていた。まぁこの帰りのタクシーは僕の言い値の1200Z$で行くつもりなのだろう。僕もここで何百ドル化のジンバブエドルを手に入れたところで、単なる紙切れになる。ポリスに止められ、警官がのぞき込んだ、メーターの距離がおかしいと言って、またまた待たされる。市内から来て、この距離か?などと完全に疑っている警官にドライバーは必死だ。いつになれば、この国のタクシーはきっちりメーターで走るようになるのだろう。それまで、空港と市内をつなぐこの一本道ではイタチゴッコが続くのだろう。まぁだいたいどの国でも警官はイタチゴッコが好きなような気がする。

空港は本当に小さい。チェックインをしてUS20$の出国税を払う。中国人の団体さんがきていて、イタリアからの団体さんかどうか分からないが、結構すいてたので、小さい空港ながらものんびりしていたのに、この2団体を運ぶ大型バスが空港に着くや否や、ガヤガヤうるさく、僕もゆっくり日記を書いている場合でもないほど混雑してしまう。

外に出て太陽を浴びる。今度来たときは私どものトラベルエージェントを利用して下さいという男性と少し話し、写真を一枚撮ってもらう。両替の看板を見ると、WE BUY ATの所には数字が並んでいるが、WE SELL ATの所は表示が消えている。やっぱり米ドルなどの外貨は売っていないのだろう。つまり、ジンバブエドルからいかなる外貨も換えられない。もう一度、反対側の(到着側)の両替商に行き、ここで50米ドルも換えてしまったことを改めて悔やんだ。

出国してゲートとは決して呼べないエリアで待つ。日記を書いていると、例の中国人が押し寄せてくる。僕を囲むように家族が座る。完全に渦の中に埋もれた僕は、完全に中国人と思われているのだろう。時間通りに搭乗して、ヨハネスブルグまで1時間強のフライト。上空が曇っていたので、雲の中をしばらく飛ぶ。周りの中国人は次の香港行きも同じだろうか。
本当に中国人ってせわしなく話す。3度目のヨハネスブルグに到着。
雨だった。空港にはマレーシア航空やシンガポール航空が止まっている。本当ならあのどちらかに乗るはずだった。ヨハネスブルグという都市は、空港近くという近郊であることなので余計だが、プール付きの家が多く、本当に豊かさを感じる。白人ばかりがこのエリアには住んでいるのだろうか?スモーキングラウンジから見渡す街は、緑豊かで茶色い家と大きなビルが点々とし、日本とそう変わらない。きっと貧しいところは相当に貧しいのだろうが、見えている風景は豊かなので、想像で記すのはよしておく。

僕の飛行機はメイン搭乗口につけず、小雨の降る中、バスで移動しトランジットカウンターへ。ここヨハネスブルグから香港まではキャセイ・パシフィック航空なのだが、チェックインカウンターが見あたらない。南アフリカ航空のカウンターでチャックインする。SA286便と書かれたボーディングチケットをもらう。おそらくCX1748便とジョイントするのだろうが、機体がキャセイじゃなく、サウスアフリカンだったら、13時間という長フライトでプライベートテレビがない。

ヨハネスブルグは雨だということも手伝って寒い。半袖ではきつい。とりあえずこの空港でお土産を買う。BIG FIVE COLLECTIONというライオン、ヒョウ、ゾウ、サイ、バッファローの動物をデザインしたブランドのチョコ(55ランド=970円)を2つと、18R(325円)の紅茶の葉っぱを買い、それから切らしていたライターを2.50R(45円)で買った。

スモーキングラウンジでタバコを吸って日記を書く。3時間のトランジット待ち。あと1時間半程待たなければいけない。ブラブラと僕の乗るゲート8まで行くと、思いっきりSouth Africanの機体が止まっているではないか。残念だ。まぁ、アフリカに来ない限り利用する航空会社ではないので、よしとするか。どうせ眠りこけるだけなのだ。それにしてもここヨハネスブルグ空港のトイレは高い。ギリギリ届く始末だ。股下の長さがこの国の人の平均よりずっと短いのだろう、僕って。ここまで来るのに、キャセイ・パシフィック航空とケニア・エアーウェイズ、ブリティッシュ・エアーウェイズ、そして南アフリカ航空を利用してきたが、最近外国キャリアでは本当にスチュワートが多くなった。日本くらいだな、珍しいのは。女性の仕事という代名詞的役割もだんだんに薄らいでゆくのだろう。

また、香港までの長フライトにそなえてスモーキングラウンジまで行き、香港での滞在の下調べをする。そろそろ時間なのでゲートに向かう。と、おられた、おられた。日本の団体様ご一行。なんと、みんなでお弁当を広げて食べているではないか・・・。ここって南アフリカやんな?と自分に聞く。まさにそう、なのに……。

とにかく17:25発、香港行きの便に乗り、13時間、眠りをメインにした移動に入る。乗り込む前に近畿日本ツーリストのグラブツーズムの団体さんに会う。今回は南部アフリカの旅で旅行代金は358,000円だそうだ。おじいさんとおばあさんばかり。その中の老年の1カップルと話す。彼らは去年東部アフリカを行っており、やっぱり動物は東部だね、なんていいながら、僕の日記帳をみて、「若いっていいねぇ。一人で旅して、日記書いて・・・」とよくうらやましがられるのだが、彼らも例外ではなかった。若いうちね。自分でもそう思う。

乗り込んだ南アフリカ航空の機体はまだ新しく、しかもエコノミーとビジネスのしきりの一番前の席だったので、前は広々。広々しているのは席もそうだし、荷物をおく棚も奥行き十分。僕のバックパックも縦に入る。愉快で快適だ。

トイレに行くのも余裕で席の前を通れる。グローバル・ツーリスト・ビューローの添乗員さんも僕の後ろにいた。結構日本の団体さんっているもんだなぁ。ゆっくり眠って、香港での一日を満喫しよう。

雨のヨハネスブルグを飛び立つ。さよなら、アフリカ。サンキュー、ジャンボ!



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