2004年6月5日

罰金のお話

「そういうもんかね」と思った罰金のお話を。
先日、運転免許更新のために免許試験場を訪れ、講義の中で「飲酒運転は罰則強化により大幅に減った」という現実を知った。グラフがそれを明確に示していた。確かに、飲んで乗ったら何十万円の罰金。これは「ついてねぇ」と言える額を遙かに超えている。だから、代行運転なんてものを頼むような風潮にもなっている、らしい。
が、最後にこんなことも加えられた。「しかし、一年以上が経ち、徐々に増加の傾向も現れている」と。つまり飲酒運転が減ったのは、何十万円という罰金を払うからダメなんだという考えのもとで一度は減り、捕まることも希だという「宝くじ」の法則で増加し始めた、ということになるのかもしれない。根元的な解決でなかったのは確かなようだ。

飲酒運転=事故、だから「ダメ」。この誰もが知っている公式を実際に遵守するには、不便すぎる世の中だとも言えるだろう。居酒屋の店舗が二階にあり、一階部分は全部駐車場なんて話も聞くし、美味しいお酒が飲める店!なんて特集の雑誌では、電話番号や店の住所と一緒に駐車場の有無まで書かれている。「まぁまぁ一杯」と促され、「いや、僕、車なんで」と断ると、「一杯ぐらい良いだろう」と瓶が傾けられる。「そっか」なんてそこで「自分は絶対大丈夫」と思ってしまったが最後、一杯じゃ終わらず……。警察がはってなさそうな裏道ばかりをドキドキしながら運転して帰路につく。そんな経験した人はきっと多いはず。ここでも根底にあるのは、事故を起こさないように注意しているのではなく、警察に見つからないよう注意するというのが実際のところ。こんなんじゃ、ダメ。それもきっとみんな知ってる。

飲酒運転の罰則強化に次いで、ついに運転中の携帯電話も罰金の対象になるらしい。お隣の国・韓国ではもっとすごい。横断歩道前の停止線で止まらない車が一向に減らないため、停止線を越えただけで罰金を徴収するという制度に変え、施行初日で5400人を摘発したという(朝日新聞)。

この際、なんでもかんでも罰金にするか?なんて話が出てきてもおかしくない。
酒を飲まない人、携帯を使わない人、もっと言えば、運転しない人。そんな人たちから言わせれば、「罰金でも何でも強化してよ、事故が減るなら」ということになるし、その反対にいる人は「自分だけじゃないだろ」と不満も出る。
警察はもちろん、事故を減らすことが一番の目的なので、前者の意見を取り入れる。だから罰金は、今後も増え続けることが予想される。仮にシートベルト違反で20万円とられたって、踏切停止違反で30万円とられたって、「へぇ、そんな制度に変わってたの?」とびっくり出来るぐらい、無違反で今度の免許更新を迎えてやる!と、青い運転免許を眺めながら僕は、金色の免許に思いを馳せる。

乗らなきゃいいのか、と考えることもある。運転しなけりゃ違反することもなく、罰金がどうのこうのという話は無関係になる。と考えてふと思った。いやいや、今も目の前には大量の車が行き交っていて、僕は毎日、その側を歩いたり、横断したりする。誰もが「車」と無関係には生活できないという現実がある。自分だけが罰金を逃れればいい訳ではなく、車を運転している他者も罰金を逃れられるようでなければならない。となると、初めの話に戻る。罰金を強化したって根本的解決には至らない。ならどうする?罰金以外の方法を模索しなければならない。罰金強化、罰則強化、減点点数大幅見直し。そんな制度の変更だけじゃ、いつまでたっても「そういうもんかねぇ」と首をかしげることになる。

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