仏教遺跡と言えば、、、アンコールワット!と第一に挙げる人が多いかも知れない。ただ、アンコールの場合は「遺跡群」として存在しており、単体の仏教遺跡としては、この「ボドブドゥール」が最大。バリ島にいったついでにエクスカーションで訪れる人も多いと聞くが、ここに照準を合わせて訪れても決して損のない「価値」がある。
価値。その昔、仏教の思想では「曼荼羅」という宇宙観があり、それをこの世に具現化したボドブドゥールは、宇宙といえるほどに巨大だ。だから、宇宙的価値がある。
上へ上へ。5つに積まれた方形の回廊をグルグルと回りながら上っていく。レリーフ、綿密に積まれた石、というより岩。崩れた壁の間から、周りの緑を見渡す。素っ裸の回廊に、むき出しの太陽が降り注ぎ、周りの緑は強い日差しをおいしそうに吸収している。
悲しい顔をした男女が、それでも必死に歩いている様子。レリーフは「現実生活」を如実に現しているのだろうか。笑い転げたり、幸せすぎて飛んでしまいそうな「人」の姿を探したが、僕は見つけることができなかった。だけど、きっと、どこかにあると思う。
方形の回廊が終わると、さらに3段、今度は円形の回廊が積まれている。ここまでくると高さも相当なものだ。何かの法則にのっとっているかのように置かれたストゥーパ。中から仏像が顔を出しているモノがある。天国。ふとそんな言葉が浮かぶほど、円形の段になると視界も広がり、一つひとつがゆったりと存在していたる。それほどに、方形の回廊は狭く、苦しかった。
現実から天国までの道のように。
生まれ、育ち、死後にまた「世界」があるとすれば、このボドブドゥールの円形の段のようなところではないかと思わせる。僕はストゥーパの間であぐらを組み、さっきまでの暑さがすーっとひいたことを不思議に思いながら、その「世界」が天国かと、また思った。行ったことのない場所の、想像する限りの「涼しさ」が、そこにはあって、天国っていいな、と思わせてくれる。
ボドブドゥールは、そんな場所だ。
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