ブチャ
歴史の教科書には、人名と同じぐらい街の名前が多い。その街で、過去、何があったか。
その出来事とリンクして街の名前がある。
その出来事が、強烈なインパクトであればあるほど、〈それだけ〉の過去になってしまうような気さえする。
街で暮らす人々の生活には、うれしいこと、たのしいこと、かなしいことに卑劣なこと、あんなことやこんなことが色々あるはずなのに、歴史になると、それが教科書にのると、「それ一色」になってしまう。
ブチャ。
このコトバは、この先、「それ一色」にそまった街の名前になるのだろうか。
ウクライナの首都・キーウ近郊のブチャやイルピン、ボロジャンカなどロシア軍が地上侵攻し、街を徹底的に破壊して多数の民間人が遺体で見つかった場所。
自転車に乗ったまま撃たれて倒れた遺体、
両手を後ろで縛られたまま倒れた遺体の数々。無造作に転がる、遺体、遺体、遺体。
ロシア軍は、何の罪のない、幸せに暮らしていた民間人を殺害した。その映像が、衝撃だった。
ブチャでのこと。ロシアが軍事侵攻して犯したこと。これは、歴史に必ず残る、この街の名前とともに。
一日も早い終結を祈りながら、今をもっとも表すコトバだと思う。
2022年4月9日記