チャイナプラスワン
2001年、中国のWTO(世界貿易機構)加盟を機に、中国向け投資を拡大した世界の流れをくみ、日本の製造業が中国に生産拠点を移転した。その際、投資リスクを回避するため、近隣アジア諸国に第2の拠点を設ける考え方を「チャイナプラスワン」という。
中国リスクとは何か。日本経済新聞コラムによると、第1に、人民元の切り上げに伴う対中国事業のコストアップへの懸念。第2に、電力や工業用水の供給不安によって、正常な生産活動に支障が出る。第3に、中国現地の人件費の上昇、さらに、労働力の不足問題が深刻化。第4に、中国の市場規模は拡大したが、新規参入も増加し、1企業当たりの市場規模はむしろ減少などが挙げられている。
そして最もなのは、2005年4月から発生した中国の反日運動(日本製品の不買運動、反日デモなど過激)である。この年から日本企業の海外投資戦略が、中国一辺倒から脱しASEANやインドへと多角化の動きを見せ始めた。
特に、「次の投資国」として注目されているのは、インドやベトナムだという。
中国元が対ドルレートで「安さ」の武器を失ったとき、ローコストの「工場」的役割が終わり、中国製品は他と同じ土俵で争うことになる。そうなったとき、どれだけの拠点が確保できているか。日本の企業の「これから」を占うキーワードになっていく。