都内から少し外れた東京の市部、小金井市。とはいえ、中央線で行けるので、便がいい。世田谷からは井の頭線で吉祥寺に出て、そこから移動。武蔵小金井駅からはもっぱらタクシー。休日だとなんとかという幹線道路が込むので、武蔵野市だけにあるようなタクシー会社を利用すると、結構、裏道を回ってくれる。
小金井公園の広大な敷地に、東京の東西、茅葺き屋根から大正ロマン建築まで、実際に使われていた建物を移築、保存しているのが、ここ「江戸東京たてもの園」だ。
僕が行った日は、たまたま家族ふれあいデー。都民であれば入場料が半額になった。
この施設は、東京都が作った江戸東京博物館の分館。これだけ広大な敷地に余裕をもって建てられていると、映画のセットを並べた京都の太秦映画村のようにも思え、いやいやしかし、ここはフェイク(紛い物)ではなく、確実に本物を展示しているのかと思うと、千と千尋の神隠しでスタジオジブリのスタッフが何度も訪れて風呂場の参考にしたものうなずける。三鷹市から近い、という立地も手伝ったのだろうが。
昼前に着いたので、まずは腹ごしらえ。東ゾーンにあるうどん屋で昼食を食べ、そのまま子宝湯、仕立屋、鍵屋(居酒屋)を見る。素晴らしい。本当にすごい。なんというか、セットなんてものに慣れすぎているせいで、本物の力を見せつけられる。息子は黄色い都電7500形にはまってなかなか出てくれず。天明家で昔の遊びを見たら、そこからセンターゾーンへ。ここでは高橋是清邸ぐらいかな。なんといっても一番面白い西ゾーンへと急ぐ。デ・ラランデ邸という明治時代の建物でカフェタイム。武蔵茶房のサービスを期待するのはよした方がいい。ここは一つ、雰囲気代、ということで。常盤台写真場の2階では、自然光をレフ板で反射して、70年以上前のカメラで記念撮影ができる(1カット500円)。レトロモードで確かに編集もできる、が、家族で並んで、一枚、かちっと撮ってもらうのも、いいな、と思った。三井八郎右衛門邸は茶室の下段、障子が美しかったし、建築家の前川國男邸は、リビング上面の格子戸ガラスが圧巻だった。
ガラスケースに入れて温度調節をし、振れるな、撮るな、と、何かと規制しては「展示」する作品とちがって、ここに有る建物は、まだまだ現役、生きているという強さがあるように感じた。