- このほど、人工授精(AID)で誕生した子供が15歳になれば、その出生を知る権利
つまり遺伝子上の親・精子又は卵子第三者による提供者の情報を全面開示できる
ようになった。自分の出生を知る権利ということ自体に僕は驚く。
つまり、自分には生まれたときから母がいて、父がいて、そして兄がいて。その四人
- を家族と呼んできた。そんな当たり前の現状から、そうではないと例外視する事が可
- 能であれば、例外的な子供は1万人もいる。AIDで誕生した子供はこの50年間に1万
- 人いるのだ。そのことにおどろいた。
この法案はかなり画期的なのだろう。
全面開示に踏み切ったスウェーデンでは精子提供者の数が激減し、AIDで子供をつ
- くろうとする多くがフィンランドに行っているのが現状らしい。(朝日新聞)
マイケル・ジャクソンの次男(三人目)もこの人工授精で生まれた。明らかでないが、
- 代理母をつかった。一人目、二人目もそれに近い。
親。それは子供を生み、育てる。生むことの出来ない人は親にはなれないのか?
それに「ノー」をつきたてたのが不妊治療の一環である人工授精だ。子供は両親にと
- ってマイケル・ジャクソンが言うように「ギフト」なのか?そうではないだろう。ただ子供
- の成長に自分達の夫婦関係の強固さを重ねるのもまた事実だとおもう。
- と、なると、話はややこしい。
親は育てることも含んで「親」であるのだ。
子供からすれば、一体どうゆうときに自分は家にいる両親が本当の父親ではないとわ
- かるのだろう。例えば、父に似ている点について自覚することは本当に難しい。それよ
- りも父とまったく性格が違う、顔が違うなど、DNDが違うと悟るのはもっと明確な瞬間が
- あるのだろうか。僕には経験が無いから分からない。が、今回の日本の決定。子供が15
- 歳になり、全面情報開示を法案化することに対して、僕の意見は、難しいが賛成だ。
- 賛成するのは、やはり、権利だからだ。知りたい。そう思うことの権利。
知りたくないのに、知らせるぞと脅す。確かにそんな恐喝事件のきっかけになるだろう。
- 朝日新聞、社説で言われているように、全面開示するまでの間、秘密がどこまで遵守
- されるかに問題がある。
父親が本当の父親じゃないとしったときの子供の精神的なショック。本当の父親ってい
- うのはどうゆうことか。育てられた環境下にいる父親が本当ではないのか。例えば、精子
- を提供してくれた第三者に「お父さん」などいえないだろう。今の自分がどこから来たのか。
- 自分の体に流れている血は、誰と誰によって出来、DNDの配列はどうなっているのか。
- 確かにいえることの一つは、それらが非常に曖昧のままやり過ごせた時代から、そうでは
- ない時代に変わっていくだろうという現実だ。例えば、自分は日本国籍ではない在日韓国
- 人が、普通に高校に通い、修学旅行が海外旅行だとすると、自分だけパスポートが違う。
成長するごとに、自分が一体何者なのかをしる、または知らされる現象が増えてくる。
例えば、今後、ことあるごとに自分のDND配列が、今の血液型のように頻繁に使われるよ
- うになった場合、隠し通せるものではない。隠されて、いきなり知る子供のショックを考える
- と、ある年齢に達したとき、徐々にその秘密のとびらを開くことは必要だろう。その開き方と
- 時期をしっかりサポートできる機関、それもなるほど必要だなぁ、と想う。
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2003年7月27日
不妊治療(親を知る権利)