2003年8月18日  

自動車
 




便利なものを挙げなさい。
そんな質問をして上位に入るのは、パソコンとか携帯電話とか、皮むき機とか洗濯乾燥機とか。まぁ色々あると思います。が、車は便利ですか?という質問には、おそらく完全一致に近い形で「Yes」ではないでしょうか。

そんなとても便利な車の話。
新聞で「トヨタ、本社周辺で脱マイカー通勤」という記事を見つけて「えっ」と声が出た。トヨタ側の声として「車は快適に乗れてこそ。渋滞してまで乗る意味はない」と。確かに。その背景には、本社周辺には大企業らしく相当数の社員が車で来る。よくそんなに駐車場があるなぁと感心もするが、それよりもわずか5qを1時間もかかってしまうほど渋滞しているそうだ。それには確かに〈意味はない〉でしょうね、車の持つ利便性から言っても。

渋滞という問題。これは製造各社のように少し郊外に大規模な工場や本社を持っている場合、マイカー通勤が引き起こし、大都市部ではタクシーやバスが巻き起こしている。長距離トラックなどは高速道路をいっぱいにする。その隙間を埋めるように、一家に一台と言われる自家用車がさらに密度を上げる。そうだ!と決め込み電車通勤を選ぶとしても、パーク・アンド・ライドで通勤する場合、自転車で駅まで行って、それからが大変です。とにかく駐輪場がない。駐輪場をつくる場所も駅周辺ではない。だから駐輪場から徒歩5分で駅まで行く、なんて滑稽な話も飛び出す。そんな話が飛び出すのはとても静かな話。駐輪場がないから、歩道に停める。コンビニの前に停める。そのうち路上が自転車だらけになる。昼も時間が増すと、人々が溢れる。自転車に乗って駅まで行ったとき、駐輪場がないから「撤去されないかな」などと不安を抱えて路上駐輪。それはそれでありな話と自分で決めてしまう。が、一転、自分が駅周辺を歩いている立場になると、あれほど邪魔なものは無い。「ドーッン」と全部ドミノ倒ししてしまいたくなる。
勝手な話だが。もう、駅まで自転車で行ってる場合ではないので、駅近くの部屋を探そうものなら、それだけで家賃が2万円は高い。どうしたらいいの?ニッポンジン。

話がそれたので、自動車の話。そんな渋滞を緩和するには乗らないのが一番。でも一度便利を覚えると、これが大変。もう放せないんです、なかなか。だって「甘い」って知ってしまったから。もしかしたら、マイカー通勤を半分の人がやめてくれれば空くからいい、なんてほくそえんでしまうかもしれません。

車はもうひとつ厄介なことが。それは排気ガス。大気汚染。インドのニューデリーでは口をハンカチで押さえても鼻の穴は真っ黒になります。すっごいのです。そんな中で公共のバスなどを天然ガス車に変えたようです。そうすると、以前よりはマシになったような。そんな記事が載っていました。ヨーロッパでは交通規制を強いて立ち入り(車の)禁止地区と時間が設けられているし、ローマなんて、そのための許可代がいります。日本でも有数の国立公園などでは自動車規制をしています。
スイスのツェルマットだけの話ではないのです、万年雪が溶け出すほどの異常地球の中では。

大気汚染に渋滞。自動車は便利ですが、その代償は大きい。現在、自動車大手はしきりに中国進出を進めています。もちろん、12億人の人口、それも経済発展で、今まで自転車がおもだった交通手段を「一家に一台」目指して入り込もうとしているのでしょうが。あの、北京の大自転車軍団を見て、それがみんな車に変わった日を想像すると、思わず、頑丈なハンカチを探してしまい、それを携帯しなければ、と危惧します。

咳き込んでる間に、地球は病みます。そして、その地球の異常が「雪」を溶かし、水位を上げ、島は沈み、砂漠が広がり、熱射病で何千人も死んでしまう。
その隅で「冷夏」になやんで米の不作と海の家の不客が生じる。

その一歩が脱マイカーであり、駐輪場の改善にあると、勝手に結論付けたくなります。

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