2003年10月22日  

病院版ミシュラン?
レストラン、ホテル。☆の数で善し悪しを決め、その結果に多くの人が注目する。シェフやオーナーは、いつ、だれが査定しているのか全く知らないミシュラン社の、そんなガイドブックの評価に一喜一憂し、それどころか死活問題になるところもあると聞く。
三つ星から☆がひとつ減る、または☆がなくなる。これでその年の客数がかわるというのだ。また、本国フランスでは、シェフやオーナーの意地もそこにはあり、☆をとられて怒ったシェフが「ミシュランなんて知るか!」宣言をしたというのも聞いたことがある。

そんなミシュランというガイドブックが持つ強大なチカラ。
それをそのまま病院の評価にも適応しようとしている。

全国各地の病院をデータベース化したオンライン上に、料金、設備、ドクターなどの多方面の評価から、☆の数にも似た評価を公開するというのだ。来年を目処に。同じくして、(財)日本医療機能評価機構は、死亡者の多い病気(くも膜下出血、脳梗塞、ぜんそく、糖脳病の4種類)の治療法などをホームページ上で公開するという。
後者には、医師にとっては最新の医療情報が得られ、患者にとっては、自分の受けている治療に対しての疑問の解決になるという利点があるという。

誰かが判断した☆の数で、安心する僕たち。

ミシュランで三つ星を持つレストランは、少々立地条件が悪くても、客はわざわざ足を運ぶ。が、病院はどうだ?「う〜ん、おいしい料理が食べたいわ〜」といって休日のプラン立てに利用する、そんなミシュランの趣旨と、突然起こる病気は根本的に違い、近くに三つ星病院のないエリアはどうすればいいのか?
確かに、共通の評価が目に見えて分かることは、双方が競って良くなろうとする効果が期待できる。

反対か、賛成か、と問われれば、こういった病院の情報公開には賛成である。
一般の人にわかりやすい形での情報公開に努めようとしている点にも満足している。

が、言いたいことは、僕は高級フレンチや、田園でのスローフードに足を向ける頻度より、近所の定食屋に行く方が多いと言うこと。

決まった定食屋を持っている安心感があるということ。

つまり、近所に、かかりつけ医のいる安心感。日本にも、米国のようなそんな制度はできないものか?例えば、近くにコトー先生のような人がいてくれればいいのに、と夢にみてしまうのが、今の現実。

これから高齢化社会だそうですよ、皆さん。
そんな時代に、井戸端会議の場と化したような医院が、もっと輪を広げ、カバーする領域を広げてくれることを願わずにはおれません。
元気だった「若さ」にかげりが出てきた僕は、そんな風に思うのです。

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