原美術館 (中庭) 
Shinagawa Tokyo, JAPAN

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春夏秋冬それぞれに見せる顔が違う。日本人が古来より求めてきた屋外空間の居心地。庭園にはそんな側面がある。春には、ちょっと強く吹いた風で舞うペールピンクの桜の花びら。ペールブルーの空とのコントラスト。地面の草の、緑の上に落ちてまたコントラスト。乙、だ。桜の横には新緑の、葉の裏に光りが透き通ってピカピカ光る若葉。その葉が赤く紅葉し、石畳の上に落ちる秋が、待ち遠しい。露地(茶庭)は、茶室から眺めるだけではなく、現代アートの展示室の、その「上半分」をブラインドで隠した窓から見ても乙。侘びしく、寂しい、中にある美。日本人の持つ、独特の美意識が、東京の真ん中で味わえる原美術館。ひっそり佇む元個人邸宅だからこその「居心地」、四季、日本人の心がある。

一転、洋風の中には、日本人はもちろん、韓国・中国・フランスなど、国籍を問わないアーティストの作品が置かれ、空を切り取る隣の邸宅のラインと、飛行機がとんで雲をひき、緑が風で揺れては、団子になって咲く桜が、気持ちよさそうに呼吸する。ガーデンテラス。芝生の緑が気持ちいい。席に座って、パスタやケーキやコーヒーを食しながら、ずーーーーっとそこに座っていたい気分になる。春や秋、気候のいい日は、ここに座って、本を読んだり、とても静かに喋ったり。もう、なんとも言えない居心地の良さに、体の中からドッと疲れが抜けていく気がする。

和と洋と 自然と創造物と アートとカフェと パスタの香り。この空間にある全てが、なんとも調和して、それがすごくいい。あるものは無理にツクらずそのままに、そしてツクったものは出来る限り自然に。

そんな美術館の二階屋上。隣に高層ビルがあるのが東京だなと思うし、だけど外壁が茶色なのがscenicだな、と。