小説、映画ともに世界中で大ヒットした「ハリー・ポッター」の世界観が舞台化される。
2016年にロンドンで始まったこの舞台「ハリーポッターと呪いの子」は、
ロンドンのあと、ニューヨーク、メルボルン、サンフランシスコ、
ハンブルク、トロントで公演され、すべて大ヒット。
加えて、数々の賞レースを勝ちとった珠玉の舞台だ。

そして、いよいよ、2022年7月に東京にやって来る、
ということでチケット争奪戦を勝ち抜き、
見に行くことができた。

私たち(家族)の席は、S席(15,000円)の1階R列18番・19番・20番。
舞台中央のほどよい距離感の最高の席だった。

まず、これは「ハリー・ポッター」にドはまりしてる人たちだけのショーではない。
現に「賢者の石」すら満足に見ていない私でも、
ストーリーはすんなり入ってきたし、
とにかく圧倒された。
面白かった。

3時間45分の公演が終わり、スタンディングオベーションしながら、
「興奮がさめなかった」。

見終わって、こんなにドキドキした舞台は経験がない。
ただただ、この度肝をぬく面白さを誰かに伝えたくて、
SNSでつぶやかざるを得なかった。

私たちが見たのは夜公演。
この日はあいにくの雨だった。
赤坂駅からACTシアターに続く階段の両側には額縁が飾られ、
中央にはモニュメントがあった。
ここからすでにハリー・ポッターの世界観にしたれる。

そして劇場に入ると、その色は濃くなり、
この日のキャスティングが本棚の中に紛れ込んでいた。
このあたりのセンスが、この舞台のハイセンスを思わせる。

ハリー・ポッター役はトリプルキャスト。
この日は藤原竜也。

ハーマイオニー・グレンジャーは早霧せいな。
ロン・ウィーズリーに竪山隼太、ドラコ・マルフォイに宮尾俊太郎、
ジニー・ポッターに馬渕英里何。
そして、この舞台のもはや主役ともいえる活躍をする二人、
アルバス・ポッター(ハリーの次男)を福山康平、
スコーピウス・マルフォイを斉藤莉生が演じる。
嘆きのマートルは美山加恋、ローズ・グレンジャー・ウィーズリーは橋本菜摘、
デルフィーには岩田華怜、組分け帽子に木場允視、エイモス・ディゴリーに福井貴一、
そしてマクゴナガル校長は榊原郁恵。

このキャストたちが織り成す場面転換、
ステップ、ダンス、声量から声音まで、
膨大なレッスン量がうかがえる圧巻のパフォーマンスだった。

特に、ハリーとドラコの息子を演じた
アルバスとスコーピウスの二人には、
なんとも気持ちを持っていかれた。

早着替えなんて、もはやこの舞台では当たり前ともいえる具合。
本棚の中に埋もれたり、目の前で1人の人間が、
別の人間に変身したり。
舞台のプールからびしょ濡れで出てきたスコーピウスが、
すぐに下手から乾いた髪と服で出てきたあたりで、
もう完全に魔法の世界に「私」もいたようだ。

もっと不思議だったのは、プールに潜ったまま「はけた」のに、
なんで下手から、それも乾いて出てこられるんだろう、と。

ストーリーはまだまだこの舞台は続くのでここに記さないが、
それを追いかけつつも、圧倒的な演出にくぎ付けになる。
トランクをあんなふうに使うのか、とか、
ハリー・ポッターの登場は、あんなにもあっさりと華麗にやってのけるのか、など。
ストーリーの根幹をなす時空を行き来するシーンは、
プロジェクションマッピングを巧みに使い、
見ている私たちを完璧にタイムトラベルさせる。
その節々にちりばめられた「笑い」。

目で、耳で、そして体感として楽しませてくれる
エンターテインメントだ。

とにもかくにも、「舞台でくりひろげられた魔法体験」に圧倒され、
キャスト違いでもう一回見に行きたいと強く思ったし、
ロンドンの本場でも、絶対に見たいと思わせる作品だった。




















 






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Harry Potter and the Cursed Child
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』

@TBS赤坂ACTシアター(東京)
2022年7月16日(土)