有田(伊万里)ならではの
「陶磁器」
土を固めて高温で焼き上げる陶磁器。
日本全国に多くの産地が存在する。
見た目には、
厚手でゴワゴワしたのが陶器で、
薄めで硬く、弾くと金属音がするのを磁器。
まぁ、おおざっぱに、そんな風に分けた時、
有田は磁器ということになる。
有田が陶磁器の町として特徴的なのは、その歴史にある。日本で唯一生産されていた場所という時代が長く続いただけでなく、パリを始め、ヨーロッパでIMARIの名を広めたという功績も大きいのだ。2010年春、九州国立博物館で開催された「パリに咲いた古伊万里の華」展でそこのところを見てから、有田・伊万里に、ぼくは出かけた。
白地に紺色の柄という時代が長らく続いた。そこに色がつき始める。と、焼き物は非常に綺麗になっていく。元々中国の真似っこからはじまり、欧州各国からの注文発注をうけて実用品(なんとひげそりの皿なんてものまである)を生産していたIMARIも、日本独自の図柄を見いだし、最後には宮殿の「飾り物」として重宝されるまでになったという。そんな歴史を知ると、なるほど「陶磁器の町」だな、と“ならでは”感を持ったりする。
毎年ゴールデンウィークに開かれる「有田陶器市」は安くて手軽に有田焼が手にはいるとして人気だ。2010年に訪れたぼくは、連休中日の平日だったこともあるのだろうか、人出は非常に少ないということだった(駐車場のおねえさん曰く)が、その分、ゆっくり見て回ることができたりして。確かに、高級な皿や器も売っている。それを見てから、積み上げられた数百円の茶碗をみると「あ〜あ」と思ったりもする。が、そこからいかに「良いモノ」を探し出すか。正直、そんなに陶器に詳しくも・興味も・なかったぼく。しかし行ってみると、なかなか楽しいもので。ならでは感を満喫することもできた。
器にこだわる、ハコに頼る。要は中身だろ、というコンテンツ重視の今の時代。同じ米でも茶碗が違うと味も変わると言わんばかりの「器」たちに、なるほど歴史を感じたりもする。