思わず「えっ」と声が漏れた。
内容を理解してからこう思った「一線を越えたな」と。
 
兵庫県三田市の郵便公社で、半月前に採用された非常勤職員(20)が、
普段よりも何百通か多かったことと、土砂降りの雨であったことを理由に、
配るはずの郵便物を空き地に捨てた。その数七百六十通。
「配達しきれなかったので捨てた」と言っているらしい。
郵便配達員が配達できないからといって放棄する。それは、作りきれないから
断るシェフ、時間がないから乗せないタクシードライバーと同じ事。
つまり、「それ」をするのが仕事なのに、放棄してしまう。

生きられないから死ぬという発想は、
もしかすればそこから来るのかも知れないなどと思ってしまう。

この職員は懲戒免職になったが、それでは問題解決にはならない。
七百六十通である。届く事を信じて投函した人の数。切手を買って
ポストまで足を運んだ人の数。
「そんな、絶対届くと信じきってポストに入れるなんて、信じられないよ」。
そうゆう未来へ向かっているような気がしてゾッとしたりもする。
 もちろん、これは非常に希なケースで、もしかすると、前代未聞の事だったのか、
非常に小さな記事だった。が、本当にそうか?と疑いたくなるのは僕だけだろうか。
雨が降っていたから、いつもより少し多かったから、だから捨てたのです、
と説明されているような気がしてならない。つまり、配達する人の気持ち次第で
郵便物は捨てられてしまうことも可能だという現実が露呈され、それほどまでに
信頼されている配達員をこのような事件を侵してしまう人物に任せる。
そんな風に、いちいち疑うこと。正に、この事自体が一線を越えた、
と言わざるを得ないのでしょう。

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2003年12月08日  

一線を越えた