居酒屋で乾杯!


働いた後の「生」はなんでこうも旨いのか、と働いてもない頃から思っていたぼく。居酒屋で腰を下ろした瞬間、じわ〜っとくるあの感覚は何だろう。

ホッとする、といっても良いのではないか?と最近、特に思うようになってきた。空間というよりもむしろ、一緒に行った人たちと、これから数時間、ああでもない、こうでもないと話すことが、醍醐味だったりする。

例えば、四方を壁で囲んで、天井をつければ「空間」が出来上がる。そこに、掛け軸やら、花やら。究極まで必要最低限のもので装飾し、あとはその中に漂う空気だけで、「ホッと」する空間を創り上げるもの。その代表が茶室だとすれば「茶室」はホッとする場所だ。そこで座禅でも組んで目を閉じれば「行けるところまで行ける」気がする。

が、居酒屋はそうではない。いくら和モダンで洒落ていても、空間だけではホッとしない。

最大の不可欠要素。それは乾杯だ、と思うのである。だから、「居酒屋で乾杯!」まででホッとする場所。乾杯〜とグラスを合わせて、メニューを広げている友人に、「オレ、だし巻きたまご」なんて声を掛けつつ、そんな時間の中でホッとしているんだろうな。そういう仲間がいて、ほんと良かったなんて思いながら。