芸人から画家へ。岡本太郎のコトバに感化され、画家として生きていくと決めたジミー大西という一人の「画家」のこれまでをたどる個展。いつも行くような美術館ではお目にかかれないだけに、わざわざ足を運んで観に行くという距離感も、ジミー大西作品に合っている気がする。たまたま、この日はジミーちゃん本人も来ており、イベントの終了後だったため、気さくにそこらをウロウロと歩いていて、その近くで、彼の描き出した絵を眺めるという贅沢。本当、色の使い方が見事だな、と思う。この展覧会の特徴は、ジミーちゃん自身の言葉が豊富にあること。作品の横に、この時は芸人としての仕事がぜんぜんなくて悶々とする中作成した、とか。さんま師匠がスペインに来てくれてサッカーを見た時、とか。番組の中で制作された作品(その番組を見ていた私は感動)もあった。正直、ここまで作品数が多いとは思っていなかったので、期待以上の満足度だった。
まずは、ジミー大西が見た「世界」を堪能する。「マルタ」「南極」「ローマ」「パリ」。どれもシンボリックな構図と、見事な配色でザ・ジミーという作品に仕上がっている。が、何々っぽい絵、と言われれば、そうなるかもしれない。が、特に、動物を描いた、それも空想的な色合いで表現したものは、ジミー大西らしいと言える。本当、彼の頭の中に色相環とかはないんだろうな。逆に、そういうのを考えて描き出しからは、小さくまとまっているのかもしれな。個人的に好きなのは「タンザニア・遠い夢」。ペンキで描いただけあって、はっきりくっきり出ている印象が、絵のタッチとマッチしている。色使いも、無性に好き。「情熱大陸」は有名な作品だと思う。背景の模様のようなジャングルようなものの中央に、像が印象的。ほとんどの作品が水彩で描かれ、それを生で、間近で見ると、オレンジから黄色に行ってピンク、みたいな色の変化を、ものすごく狭いスペースでやってのけているのが、全体として絵の力になっていることを感じさせる。
大阪で生まれ、お笑いに挑戦し、番組で絵の才能に注目があつまる。展覧会ど頭の作品「ジャンブルの眼」は名作だ。そこから画家としてスペインへ移住。そしてマルタへも渡り、ジミー大西の中で、地中海の色合いが濃厚になっていく。
「欲望」は構図の妙だし、ピカソやミロや色々ミックスの末の作品か。「合宿」などはザが付くほどの個性的な作品。やっぱり、「フラメンコ」が、個人的には一番すきな作品。もちろん、人物もいいが、とにかく闘牛。この中央の形と色にやられる。
絵画だけではなく、造形物も多く、アクリル・ハイキャストでカラフルに仕上げた「活火山」、アクリル・合成樹脂で表現した「大地の息吹き」など、なんともジミーちゃんの頭の中から出てくる明るさが心地よい。「ワニ」は、グエル公園にあっても、しっかりジミー大西らしさが出ると思われるほど。
GUCCIでの個展で作った「ファッション」は、絵画の中央に樹脂の立体がくっついていたり、BEGINの一期一会に描いたり、うちわを彩ったり。キャンバスを飛び出して、どんなものにでも、ジミー作品の世界観が色濃く残る。度肝を抜かれたのは「ドラゴン天」。立体的で、彫刻刀で掘ったよう。白のドラゴンに挑戦したジミー画伯は、「結局、色をいれちゃいましたけど」と。ただ、その色合いが実に素晴らしい。新たなるジミー大西の世界という印象を受ける。ご本人が「絶対に手放せない作品」と紹介する「宝」は、七福神を描いたもの。蓮の花のオレンジが、とても印象的。
作品もさることながら、作品のタイトルにもフフッと笑えるものがあったりして。そんな鑑賞中も、スタッフの方と「なんか、一日あっという間やったなぁ」とか「ほんま、はやいわ〜」とか、間を埋めるようにしゃべりながら、うろうろと歩く姿がテレビで見たままだった。この人から、これだけの世界観が出てくるのか。すごいな、の一言を残して、会場を出た。
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Jimmy Onishi
ジミー大西 ホームタウン
@富山市民プラザ(富山)
2025年3月20日(木)