植草甚一スクラップ・ブック
Jinichi Uekusa : A Retrospective from the collection of the Setagaya Literary Museum

@世田谷文学館
2015年06月06日

好き嫌いで言って、単純に好き、なのが植草甚一のあれこれ。戦争を知っている世代の
そうは思えない感じがいい。逃げ惑う中でもつけた日記。そして
東宝の社員へ。
植草甚一といえば、まずは
映画になるのかな?ジャズかな?文学も相当なもので。
彼のそれぞのネタ帳のようなスクラップが、これだけずら〜と並ぶと爽快だった。

レコードジャケットにフライヤー、雑誌の表紙。ノートもアジがあって、まずは表紙の書き込み。今のようなパソコン時代ではないアジが、活版印刷にも似て、本当にあるいい時代に、いいモノにであって、それを仕事にまで押し上げた執念というか目の付け所というか、諦め無さというか。その全てに脱帽

世田谷文学館も開館20周年。1995年、僕が大学に入学した年に出来て、今までの間、なかなかオモシロイ観点で企画展を連発。これからも本当に楽しみなところ。

表紙に続いて、なんともアジのあるのが「原稿用紙」。今の時代、A4サイズに40字×30行で打ってしまうところ、独特な字で丁寧に400字を埋め込み、朱書きで訂正を入れる。なんだか、それを読んで、またスクラップブックを見る。この上下運動で、横へと動いていく展覧会だった。

映画、文学、音楽(ジャズ)。それらに加えて、というより僕の場合は、
ニューヨーク。彼が見たニューヨーク、彼が残したニューヨーク、書き写し、描き撮り、切り抜いた世界が、本当に興味深い。映画で始まり、文学、音楽、そしてコラージュ。その後、雑学ときてニューヨークのコレクションが続く。サンフランシスコもよかったな、なんだかあの時代のニューヨーク、アメリカという圧倒的な力も感じ取ることが出来る。葉書や手紙。ライフスタイルというカテゴリーで披露された植草甚一のこれらはとてもよかった真似できるものならやってみたいというのが数多くアリ

展覧会の最後は「三歩屋」の店舗展示なんと、陳列された本は読んでもいい。晩年、4万冊を超える蔵書を元にして、下北沢に古書店「三歩屋」を開くことを想定していた植草甚一。実現することのなかった幻の店のイメージを展示室内に再現されている。ここはなかなか面白かった。こじんまりとしていて、発信型の書店のさきがけのようで。この日、開館20周年の記念で、無料開館日だった。セタブンマーケットも2015年6月27日からの土日である。本と雑誌のマーケット。植草甚一なら、覗いていたかも、と思いつつ。



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