JR展 - 世界はアートで変わっていく @東京
2013年05月05日
→ reportに戻る

上記6枚と右の写真は、
左の公式ガイドブックより。

「JR INSIDE OUT_JAPAN」
ワタリウム美術館

パリとニューヨークを拠点に活動するフランス人アーティスト
JR(ジェイアール)。

今、最も注目される彼の、これまでの活動を一挙に紹介する展覧会へ行った。場所は、美術館として色んなアプローチを見せるワタリウム美術館。

まず、外観に貼られたポートレートのコラージュに心を持って行かれる。TEDプライズの受賞スピーチでJRは言う、

初めはストリートで自分の名前を書いていた。
「自分は存在する」と言うために。
そしてその後は、みんなの写真を撮ってストリートに貼った。
「彼らが存在する」と言うためだった。

写真を撮って、街中に貼る。パレスティナで、ブラジルのファベラで。貧富や人種や世界中の雑多を混ぜ合わせて「はい、どうぞ」と見せる。独裁者の写真の上に市民の笑顔の写真を貼ってみる。階段に大きな女性を。バラックのような壁中に目を。

彼の作品は、室内から飛び出している。だから、一つの美術館で彼の活動を見せるのは難しい。4階、3階、2階。3フロアを使って淡々とJRの活動を紹介していく。

DVDが欲しくなる、ガイドブックは必須だ。なんといっても、彼は「なぜ、そんなことするの?」というアートに対する漠然とした問い(もしくは迷い)に対して、

世界はアートで変わっていく。

と言い切るのだ。そのためのチャレンジをするのだ。

インサイドアウトジャパンというプロジェクトは、被災地・東北でいろんな人にポートレートをとってもらい、JRはそれを貼っていく。彼らが、いる、と言うように。

その笑顔が、おちゃらけが、真顔が、無表情が、全部リアルなことに気づくと一つの作品としてぐっと力を増す。

拳銃のようにカメラを構え、照準を合わす男性の目からは、前に座って諸手を挙げた者にしか感じ得ない、独特の感情が湧く。今、世界では、そういうことが、当たり前に存在するのだ、とでも言っているかのように。


さて展覧会。1階のショップ、地下のカフェとブックストアは、ワタリウム美術館ファンが多いのも納得の品揃え。棚作りが、ほんとうにすばらしい。

そして、手狭なスペースに、あえて飾りすぎず、わざとおおざっぱに紹介していく。

それらはすべて最後のINSIDE OUTへと繋がっていく。

入場料1000円、未就学児は入場不可だが、抱っこ紐でずっと抱けるなら500円を払ってINSIDE OUTに参加できる。セルフポートレートの要領で写真を撮る。1枚に1人。モノクロのドットの背景にどんな表情をするのか。順番を待っていると、撮り終わったポスターが天井から降ってくる。この演出もなかなか面白い。

家族3人。ポスターサイズの印刷は、迫力がある。それを持ち帰って、どこかに貼って「自分はここにいる」と、言うらしい。

スピーチに出てきて語った謎の?アーティスト。バンクシーのようでぜんぜん違う。JRの作品は、Chim Pomとコラボしたりもする。

少しずつを集めて強大なパワーにする。そのきっかけを造って、まとめて表現できるのが、今の時代のアーティストというのだろうか。

インサイド アウトで撮った家族一人ひとりのポスター。一人で撮るために、映らないように隠れて息子を支えていると、完全に下を向く息子・・・。と、同じポーズでぼくも撮った。そこにきて妻の・・・明るい感じ。