四条大橋から八坂神社へ向かう歩道は狭く、混雑している。コロナ後の訪日外国人観光客が京都へ詰めかけ、オーバーツーリズム状態の古都。南座は、きれいになった。今年は、三月も終わりというのに、桜が遅い。ようやく、30日になって開花宣言がなされた。
花見小路を右折する。係員の数が多い。ここは車道。両サイドに分かれて歩けと呼びかける。市道での写真撮影は罰金。そんな立て看板も多かった。人気のわらび餅店「徳屋」は12時から。朝の早いうちは、この小路も店はなく。ちょうど都をどりの時期なので、歌舞練場には大きな垂れ幕がある。小路のあちこちには企業広告入りの提灯も。
花見小路の突き当り(という印象)、建仁寺に入っていく。それにしても、どうしてこんなところに馬券売り場が?と思ったのは、もう数十年前のこと。違和感はなくなった。
建仁寺といえば、天井に描かれた2匹の龍。この双龍図は、北海道で書かれて、法堂の天井に飾られたもの。圧巻の大作。二十年数年前に初めて見たときは、古いお寺に新しいモノという対比がよかったが、もう20年以上経つのか。何度見ても、釈迦如来坐像と双龍図の織り成す空間が圧巻だった。
建仁寺。個人的には、箱庭が気持ちいい。境内のバランスも素晴らしい。そして、常に新しいものに手を出すイメージが同じ京都の醍醐寺のようで、大好きな場所だ。外国人観光客と日本人は半々といったイメージで、日本人の警備員さんも流ちょうな英語を話していた。
まず、入口を入って見られるのが俵屋宗達の「風神雷神図屏風」。金屏風がまぶしい名作。かぜ薬のコマーシャルが思い浮かぶの世代? 何度見ても、構図の素晴らしい作品だ。その後、御朱印帖を預けて、境内を歩く。
順路はなし。ただ、思いのまま歩く。
これぞ、禅。無駄を省いたすっきりとした空間が、重みをもっている。方丈の庭の前に座り、ぼんやり春の風にあたる。やわらかい日だった。
「海北友松襖絵」の龍を見る。「花鳥図」や「竹林七賢図」の桃山時代からの襖絵を見たら、隣の部屋は平成時代に描かれた新しい襖絵が。ちょうと今、細川護煕元総理大臣の達磨をはじめとした作品も見られた。
庭もいいが、やはり私は箱庭が好きだ。そして、圧巻の龍が、まぶたの裏にこびりつく。