リーダー
2007年09月24日
リーダー。学校生活においても集団主義が台頭し、最小単位を「班」において以降、リーダーというのは常にあって、それが集まり学級、学年、学校と集団の単位が拡大するにつれリーダーの中のリーダーというのがあった。一国のリーダー、それが日本の場合、総理大臣ということになる。先々週の安倍首相の突然の辞意表明から大急ぎで決めた新リーダーが明日誕生する。福田康夫総理大臣だ。意外に感じたが、日本で親子二代の首相というのは初めてであるらしい。小泉政権を継ぎ、若きリーダー像として誕生した安倍首相も、どこか「周り」の圧力をうまい具合に転がせず、重要な箇所箇所で決断力の甘さが国民からの批判を浴びた末、参院選の歴史的敗退後、体調を崩し……、という結末。戦後生まれの総理大臣という「新しさ」ゆえ、戦後レジームからの脱却や、美しい国を声高に掲げたのに、残念な終わり方だった。

それを引き継いだ71歳の福田新首相。ふと、前原代表を引き継いだ小沢代表という、、、なんというか「やらせてみよう」的なフレッシュさを、やっぱりだめかと「親」が出てくるようで、う〜ん、どうもこれをもって安定・安心といわれるとしっくりこない。会見で福田氏は、「若者の、、、なんだっけ、えっと、何?あ、そうそう希望、若者が希望をもてる国づくり」云々と、まったく希望のもてない感じで「おっしゃってました」が……、大丈夫?と言いたくなる場面も。

何が何でも郵政!と、ドカンとぶち挙げた小泉首相の、ついてこいとグイグイひっぱる像はまさにリーダーだったし、そこに自分自身の潔白、そして細かい心配りでブレインをまとめた。善し悪し色々あるだろうが、彼はリーダーとしては適任だったように思う。ブレア元首相のように。福田氏はどうだろう。例えで言うと、ヒラリーかオバマかという中で、え?ジュリアー二なの、という感じだろうか。

今、世界中で「リーダー」の顔が新しくなりつつある。ヨーロッパでは一足先にその波が来た。イギリスはブレア氏からブラウン氏に、フランスもシラク氏からサルコジ氏へ。ドイツでは初となる女性リーダー、メルケル首相が手強いプーチン氏等とも対等に渡り歩いている。そんなプーチン氏も任期切れ間近。ごく短期間他の者に大統領を任せ、その後、すぐに返り咲くのではという憶測も流れる。そして、一番は来年のアメリカ大統領選挙だろう。流れ的に言って共和党から民主党へ政権が変わるのは必至の状況。アジアに目を向けても、韓国や台湾のリーダーが任期満了で年内に交代する。パキスタン、トルコ……と。一国のリーダー交代は、横や縦の繋がりを微妙に揺らすことがある。

そんな世界の中の一つの国だということを、もっと強烈に意識した日本のリーダーであってほしい。中国、インドに対する経済対策、アメリカとの防衛と貿易、アフガンやイラクへの戦争参加の仕方などなど、年金問題や消費税率アップとは別枠で重要な問題が山積している。国政に躓きかけると、サプライズ敵に訪朝するなんてやり方が正しいとは思わないが、サプライズも出来ない安定志向は、先が知れているように思う。

と、ここまで書いたところで、僕は今回の福田首相に期待している。

先述の先導者的なリーダー像ではなく、「上司的」な意味で、福田首相はいいのではないかと思っているのだ。つまり、「責任をしっかりととってくれる」リーダー。「任せる」器をもって、血気盛んな人達に政治をさせればいいのではないかと思う。その上司として「居る」首相。リーダーにはまた「先達」という意味もある。例えば桝添氏が先を行き、その道(政治家)の先輩として福田氏が助言なりをするというスタイル。先頭にたって旗を振るようなタイプでもないだろうし、それをしたところで上手くいくとは、福田氏をみていて思えない。だから、無理はよした方がいい。

小泉首相、安倍首相と日本のリーダー像は若返り、どこかニュー・ジャパンのようなイメージを世界は持っただろう。そこに、七三分けのめがねをかけた「典型的日本人」がリーダーになったのだから、後進とみられてもおかしくはない。が、若く新しいタイプに見えるリーダーが立っても、その背後にいつも「重鎮」がいるようで、その顔色を伺うぐらいなら、リーダーは重鎮にして若く新しいタイプの人が前で活躍すればいい。後ろに控え、大きな器で任せられるリーダー、福田首相は言わばそのタイプだろう。周りは、前を走るリーダーを見るのではなく、後ろを振り返りつつ仰ぐのだ。

に、しても三役人事などを見て、大丈夫か?とも思う。後ろに控えるのであれば、最も気をつけなければならないのが「声」を届けるということだ。福田首相自身、こう思う、という明確な軸をしっかりと示し続けること。それが派閥やら党内のパワーバランスでぶれるようなら話にならない。それが少し懸念されるところが怖い。幹事長に就任した伊吹氏が言うように「チームとしてしっかりとまとまり、その中心に福田首相がいる」……という体制が今回の福田内閣なら、そのチームがどういう方向でどうしようとしているのか。その時、その時に協議して決めていくというのは、なんというか「何もない」と自ら言っているようで情けない。インド洋上での給油は続ける、なぜなら……、とか、議員年金はこうする、とか。福田氏は政治家にとって「引き際の決断」が重要だと言っているようだが、決断は引き際だけでなく、一つひとつそれぞれに必要なのではないかと思う。

今回の福田首相就任には、国民の民意がないと民主党は繰り返している。確かにそうだろう。だからといって解散総選挙という「停滞」は、これ以上許されない。民意を掴んだ上で、福田氏の「アジ」を活かし、そのスタイルでこの状況を何とかしてもらいたい。

僕らが選んだ代議士が選んだ首相という、正規ルートで選ばれた首相なのだから、僕は今回の日本の新リーダーに期待する。



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