This is LOVE PSYCHEDELICO
LOVE PSYCHEDELICO (2008年発売)

Standing Bird
Your Song
Everybody needs somebody
LADY MADONNA〜憂鬱なるスパイダー〜
fantastic world
unchained
My last fight
Last Smile
all over love
"O"
These days
neverland
A DAY FOR YOU
(BONUS TRACKS FOR JAPAN)
dry town
Mind across the universe

2000年4月。鮮烈なデビューだった。ぼくは社会人二年目の春。何?これ?とラジオから聞こえてくる彼女の声と、どこか懐かしいようで、それでいて重厚な、このリズムと音にやられた。LADY MADONNA、Your Song、Last Smile。このシングル三連発で、ラブサイケデリコに完全にやられた。そして、1st Album「THE GREATEST HITS」をパソコンに入れ、デジタルなのですり切れはしないがずっと、聞いていた。覚えがある。These daysがとにかく心地よかった。

あれから10年。ロサンゼルスに拠点を移し、どこか明るくライトな最新アルバム「ABBOT KINNEY」(2010年1月発売)も確かにいい。相変わらず心地いい。

が、これ!と一枚選ぶなら、う〜んどれだろうか。10年で5枚のオリジナルアルバムを出しているラブサイケデリコの、これ、という一枚。選べなかった。だからベストアルバムにした。それも、アメリカ進出第一弾、アルバムのタイトルは「これがラブサイケデリコだ!」の名曲パック(1枚目から3枚目までのアルバムの曲を中心にセレクト)。少し、やり過ぎな感もあるが、誰も文句は付けられないラインナップだろう。それをまた、繰り返して聞いている。

大学時代にラブサイケデリコの二人は出会い、ユニットを組む。日本中に溢れていたリズムと音と歌詞と雰囲気を、一掃するような世界。それはアメリカの音楽シーンの。時々思う、ポーラ・コールのようだ、などと。それに近い彼女たちの世界観。そこにやられる。

一言で、いうなら、ラブサイケデリコの曲は心地いいのだ。

コンクリートの箱の中で、どこか鈍く響くようなリズム。その中を、言葉と言葉がリエゾンし、時にははっきりと、多くは曖昧に、メルトしつつ繋がっていく感じ。

例えば、
冷めきってるカップのコーヒー and so on (「LADY MADONNA〜憂鬱なるスパイダー〜」より)なんてリリックが、まさに心地よさの境地というか。

二枚目のアルバムから選曲の「unchained」と「"O"」は完全な英語の歌詞。それがとても自然に聞こえるのは、日本語ですら「しっかり聞かせる」わけではないボーカルの、言ってみれば普遍性。力を抜いたようで太い声。すごくいい。「"O"」の疾走感は、個人的にとても好きだ。

成熟した3枚目のアルバムからは、ボーナストラックも含めて5曲を選曲。どれも名曲揃いだ。

例えば、「My Last Fight」。
運命線の向こうのlast smile、離れたくない旅立ちを唄った「Last Smile」とは違う別れの唄だ。

「その瞳でしかと見とどけて my last fight
言葉より互いに似合った phrase
この胸に刻み込んだ

全てが終わるから命の my last fight
愛す度にためいきになってほら
おまえと一緒にしまいこんだ days」

力強さ?というより「向こう岸まで来て、面と向かった」感じが好きだ。


そして、アルバムを締めくくるのはデビューアルバムより「A DAY FOR YOU」。体育館かどこかで、みんなで思いっきり合唱したいような、愛が目覚めて、その目覚めた愛を自由に「今日を!」と歌う歌詞も手伝って、もしかすると教会で歌ったっていいような。なんとも手拍子を打ちたくなる一曲で終わる。


これから10年のラブサイケデリコを聞く前に、繰り返し、繰り返し聞いていると、この世界観にどっぷり浸かって抜け出せなくなるドロドロした何か毒のようなものを感じる。アディクション。それをそう呼ぶなら、完全にそれだ、と思う。


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