ミロ美術館 in BCN
2006年5月4日

1983年、今から23年前にこの世を去ったミロ。が、生まれた街、バルセロナ。ピカソやガウディ、ダリなどと並んでカタルーニャが生んだ芸術家のひとりである。ぼくが最も好きな画家。だからこそ、バルセロナに行きたかったというほど、好き。何がそんなにいいのかと考えた挙げ句、考えること自体バカだったと思った。のは、「ここがいいから」というポイント的なものではなく全体的なフォルム。もっと、なんというか、こう、要するに感覚。ぼくが初めてミロの作品を見たのは「青」シリーズで、なんとも深くて鮮やかなあの色に唐辛子のような細長い棒があり、点、点、点と墨汁を垂らしたような「続き」が中央にある。「ええわ」、と言った当時小学生だったぼくに、「???」だらけのお友達。それを感じ取って、「あ、やっぱ、嘘」と慌てた記憶。あれから二十年近く経って、ウソだと嘘をつくこともなく言える、「ほんま、ええよ」、と。

マラガで生まれたピカソ、レウスで生まれたガウディ。で、バルセロナ生まれのミロ。だからどうしたと言われそうだが、だから、バルセロナの街にはミロが溢れている。モンジュイックの丘に向け、坂道を登って「カタルーニャ美術館」を超える。道なりに階段を登るとオリンピックスタジアムがあって、宇宙基地のような「通信塔」を眺めながら、大きくて真っ赤なスニーカーのオブジェ。はたと、「あれ、ミロはどこや?」なんてウロウロしてた時に、ランニング中のおじいさんに「ミロ、ミロ」と連呼すると、「ニコッ」と笑ってあっちだよと教えてくれる。このニコッという感じがやっぱりバルセロナの中においてミロは特別なのだと思ったりもする。旧市街の中にある「ピカソ美術館」に行くにも迷ったぼくは、同じように「ピカソ」を連呼したけれど、ウォーキング中の人は止まらず、ワーキング中の人が「はぁ、あんたも」のようなうんざり顔で教えてくれた。ニコッがない。

○が多い。色が綺麗だとか、実は意外にデッサンが素晴らしいとか、詳細で細密画とまでは言わないが実に「きちんと」描いた絵があるとか、そんなことはもういい。○が多いのだ、ミロの作品には。絵画もオブジェも。上の写真はミロのセルフポートレート。それもしかり。そんなことに気付けたこの美術館には二階に屋外のスペースがある。そこに出て社会見学にでもきたのか、小学生にハロ〜など言われつつ「はよどかへんかな」とぼくは笑って手を振りかえしたり。まぁ、なんともにくたらしいオブジェがこの屋外スペースには置かれているのだ。それを撮りたいが為に、小学生に毒づく自分。ちっちぇーな、とおもったりもする。ミロは、パリに出てシュールレアリスムに目覚め、有名になった芸術家の一人ではあるが、どこか、その「他」の人たちと違う。ガツンとパンチされる感じがないのだ。いつまでもぼーっと見ていられる。から好きだとも言えるが、ボーっとしてる間に「感覚」を大事に物事を掴むというか何というか、そんなことを教えられる気がする。

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