人も風も通る屋外ピロティ(現在は半分以上が屋内)、石なのに木製のような柱が六本で支え、とにかく自然光が多い(現在は人工灯も多い)。身長183pの男性を理想としたコルビュジエは、その男性のへそまでの長さや、あらゆる部分の長さの比率を、この美術館に応用した。明かり取りと小部屋を兼ねた小部屋まで(二階の天井まで)は、その男性が手を伸ばして届く高さになっている。大きすぎず小さすぎない。ちょうど心地良い空間を、光と風と一緒に感じさせてくれる。そこに、松方コレクションの作品が惜しみなく展示され、とても豊かで贅沢な時間が過ごせるシーニックスポットだ。

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世界遺産 国立西洋美術館 @東京

世界文化遺産に登録されて1ヶ月少し。めっきり注目を集めるこちら。2016年8月時点で、まだ、世界遺産を記すプレートはまだ届いていなかった。美術館が集まる上野公園の、JR上野駅公園改札を出て横断歩道を渡るとすぐに見えてくる。一見、普通。なのに、印象深い真四角。ル・コルビュジエが設計した「無限成長美術館」だ。東京(都心部)では初めての世界遺産ということもあって、人が集まるが、どうもインパクトがないようで。タージ・マハールやサグラダ・ファミリアのような圧倒感はない。あるのは、ただ、どこまでも心地よく、洗練されて落ち着く空間だ。常設展示のみなら430円で入れるこの空間は、本当に貴重だと思う。

9年前、世界遺産登録なるか?と話題になった頃から、この国立西洋美術館はシーニック・スポットとして掲げていた(こちら)。