アメリカの大手メディア関連の非営利団体が中心となって運営する博物館。ニュースとミュージアムをかけた言葉で、ニュース報道に関する資料や映像を収集・紹介している。過去500年間に発行された35,000点の歴史的な新聞の一面記事を収蔵している(朝日新聞より)。

この度の東日本大震災で大きな被害をうけた宮城県石巻市。そこにある夕刊紙「石巻日日新聞」が発行した「壁新聞」が、このニュージアムに展示されている。

工場が被災で輪転機も回らない。そんな状況で「新聞」を発行することは無理、、、なようにも思えた中で、同紙の近江社長が判断する。

「紙とペンがあればいいんだべ。できるべ」。

当時、避難所などでは「情報」にうえていた。全国放送が扱うネタではなく、もっと切実な、もっと目の前的なという程度の情報が。安否情報、避難所の空き、救援物資の受け取りなどなど。そんな「情報」を石巻日日新聞は、大きな紙に手書きで、壁新聞の形にした。被災した翌日3月12日から6日間。取材は困難を極めた。集めてきた情報を大きな文字で壁新聞にしていく。

伝えることが新聞の役目である以上、この判断、そして行動力は素晴らしい。

瓦版から時代は進んで、輪転機が何百万部もの部数を印刷するようになって、それがすごいスピードで配達されるようになった今。未曾有の大震災で「元にもどった」こと。元にもどれたこと。なんというか根源的な「役目」を果たそうとする人がいて、それが実際に果たせたこと。

この壁新聞の役割に気づいて、ニュージアムに展示されたこと。

そのどちらも、素晴らしい。

ニュースが博物館に展示されるということが、ふと考えるととても不思議だが、よく考えると、なるほどな、とも思える。人が生きた「コト」を残していく。それこそが、ミュージアムだと。

激動の時代を迎えて、このニュージアムという言葉は、もっともっと大きな意味を持っていくかも知れない。


2011.05.15記