3年に1度のトリエンナーレが、日本海に突き出た能登半島の端っこ、石川県珠洲市全域で行われている芸術祭。第2回目となるのが2020年に行われる予定だったが、コロナ禍で延期。2021年の秋に行われた。とはいえ、コロナまん延防止処置で、屋外展示のみが見学可能だった時期に、まわってみた。
印象深かった順にレポートする。
まずは、トビアス・レーベルガー〈ドイツ〉の
『Something Else is Possible/なにか他にできる』
「道路で断ち切られた線路跡に設置された、色を変えながらうねるような空間。」が出現する。この田舎の風景にマッチする作品は、いつまでも頭の中にこびりつく光景。
次に、アレクサンドル・コンスタンチーノフ〈ロシア〉の
『珠洲海道五十三次』2017
廃線になったバス亭をテーマごとに彩る。屋根付きのバス亭が、1つのアート小屋のように変身し光景に馴染んでいる様は、アートなのか、レトロなのか。
浅葉克己〈日本〉の『石の卓球台3号』
は、さいはてのギャラリーに設置され、プレイも出来るアート作品。
石の上で、ピンポン球の音が、心地良い。
ディラン・カク[郭達]〈香港〉は、のと鉄道旧鵜飼駅にスマホに目を落とす現代人のような無機質を。作品のタイトルは
最後は、芸術祭を車でぐるぐるまわる中で、「これ、よかったよ」と教えてもらった作品。シモン・ヴェガ〈エルサルバドル〉の『月うさぎ:ルナクルーザー』
さいはてのギャラリーは、この芸術祭のインフォメーションセンターも兼ねた拠点。
コロナじゃなければ、廃校になった小学校での展示など、屋内のものが見られなかったのが心残り。
ただ、あまり時間に追われず、ゆったりとまわると、この珠洲という町が持つ時間感覚の中に、芸術がしっかり溶け込んでいて、なんとも素敵な時間が過ごせた。