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黄金の四辺形

広大な国土を持つインドで、いま急ピッチで進められているのが道路インフラ計画。その目玉として「黄金の四辺形(ゴールデン・クワドリラテラル)」と呼ばれる環状線がある。(ニューヨーク・タイムズ参照)

首都ニューデリーを基点に、東のコルカタ、南東のチェンナイと南西のムンバイという四大都市を結んで、国内をほぼ一周する4〜6車線・約5800kmの幹線道路。

クラクションにトラック、砂埃をあげながら騒然としているのが「インドっぽい」というイメージだったが、いつまでも【滞留】ばかりはしていられない、のか。スムーズに物が流れ始めたインドには、経済市場価値がさらに高まるだろう。が、車社会と郊外という資本主義社会が生み出し種々の問題に突き当たっている今、同じ道をたどってくるようで怖い。なにしろ、インドには10億人以上の人口がいるのだ。

平均速度が40qほどしか出せない日常の中で、雑多な民族がそれぞれの暮らしを築いている。それが、100kmを超えてビュンビュンとハイウェイを飛ばす社会へ、そして経済大国という未来へ?う〜ん、確かに便利になるだろうし、それによって恩恵を得ることも多いのだろうけど、なんとなく、ビュンビュン飛ばされていく中に、インドらしい雑多さが埋もれるようで、全部消しゴムで消されてから、パソコンで印字された清書を見せられるようで。「ALWAYS-三丁目の夕日」という映画で古き良き日本を実感したぼくには、そんな風に思える。