Picasso and His Time: Masterpieces from Museum Berggruen / Nationalgalerie Berlin
ピカソとその時代

@国立西洋美術館(東京)
2023年1月8日(日)

ル・コルビュジエが設計し、東京で唯一の世界遺産である国立西洋美術館。
それがリノベーションしてきれいになった空間で行われた美術展。
今回はピカソの世界観を、同時代に生きた画家と並列して展開する。
ベルリン国立ベルクグリューン美術館から、
日本初公開の作品が気持ち良いほど並ぶ。

パブロ・ピカソ、アンリ・マティス、ポール・セザンヌ、
パウル・クレー、アルベルト・ジャコメッティ。

まず、企画展の顔となる「緑色のマニキュアをつけたドラ・マール」。
ピカソが当時の恋人に贈った作品だ。
見る者をグッと惹きつける。



この他にも、ザが付くほどのピカソらしい作品の中で
印象的なのは「ヴァイオリン」。キューブの中に埋もれたようなヴァイオリンが
絶妙のバランスでグラフィックされている。
他にも、カラフルに色づけされた弦楽器の作品が続く。
どれも、構図が見事だ。
これまでのピカソというイメージにはない
「踊るシレノス」は、どこかコミカルでマンガ的だ。
(正直、ピカソっぽく描いた贋作では?とさえ思える)

パステルも珍しい「雄鶏」は伸びやかな線で描かれ
「サーカスの馬」は、あの名作ゲルニカに描かれる馬だ。

よく描かれるアルルカンの中でも、「ギターを持つアルルカン」は
実に表情が豊かで、まさしくピエロ。
「座る女」「横たわる裸婦」などは、ピカソが辿り着いた表現の
最高峰にある作品だろう。
個人的には、「多色の帽子を被った女の頭部」が
構図、色、形ともに心を奪われる。
すぐ近くに名画「黄色のセーター」もある。

ピカソの世界観から、次はパウル・クレーへ。
「夢の都市」はまさに名画。多すぎず、少なすぎない絶妙な色のバランスと
1つひとつの形が見事だ。
「朱色のアクセントのある方形の抽象的な色彩調和」は、
作品の前でぼんやり立ち、これは調和しているのかと頭の中でイメージを重ねる。
「知ること、沈黙すること、やり過ごすこと」というタイトルの妙と
作品がもつ華奢な線とフォルムの完璧さがオモシロイ。
個人的には「封印された女」が一番好きだ。
どこか日本の昔の女のような。表情がなさ過ぎて、封印という文字がしっくり来る。
「夜明けの詩」はクレーらしい見事な図だ。

続いてアンリ・マティス。「ダンス」をロシアで見た時、
この人ののびのびした世界観が好きだった。
「オパリンの花瓶」は線の妙。
「雑誌『ヴェルヴ』第4巻13号の表紙図案」は素晴らしい。
緑の上に載せる黒のバランスはこうすればいいのかと。
「ドラゴン」は、これだけシンプルな形で龍を表現してみせる。
そして、これぞマティス。個人的には最も好きな「縄跳びをする青い裸婦」。

そして最後、
とても激しい色使いながら、なぜか静かな雰囲気を持つ
「本を読む女」で企画展は終了する。

非常に満足度の高い企画展だった。

























































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