吉祥寺駅からバスで武蔵野市民文化会館まで移動し、伝統芸能を体験するというプログラム。芸団協がプロデュースするだけあって、本格的に体験できる。うれしいのは、別に武蔵野市民だけじゃないということ。落語(らくご)、狂言(きょうげん)、和妻(わづま)、三味線(しゃみせん)、日本舞踊(にほんぶよう)から選んで応募。競争率がどうだったのかはわからないが、落語に当選した息子は、全体で30人ぐらい?と一緒に落語体験をした。
この日、講師として春風亭愛橋さん、春風亭昇々さん、そして瀧川どっと鯉さん、福岡民江さん。三味線と太鼓でお囃子も本格的に成され、高座の座布団が重みを増している。(三味線を民江さん、太鼓をどっと鯉さん)。
まずは二枚目の春風亭昇々さんが、短い小話で子供たちの気持ちをぐっとつかむ。「おかあ〜さーん、パンツやぶれた」「え〜」「パンツ、パンツやぶれた〜」「またかい」。どっと笑う子供たち。おそらく、おかあさんという呼びかけから、昇々さんの話し方、表情ですでに大うけだ。オチで一気に笑っているのは、意味を知ってというより、ああ、ここで終わったのかという話の間で笑ったように思う。
その後も、いくつか小話を披露してくれる。続いて三味線、太鼓で出囃子と、話の途中の情景を表す音を実演してくれる。子供たちの目が釘付けだったのに、正直驚く。本物の噺と音と間(リズム)は、やはりパワーがすごい。
子供たちと一緒に「そばを食べる」「うどんを食べる」をやった後は、希望者が高座に上がって小話を覚えて披露する。ここぐらいからどんどん落語に入り込んでいく子供たちは、自然と手が挙がっていく。一通り、教えが終わると、最後は真打、春風亭愛橋さんが一つ、噺を披露してくれる。通貨を円にしたり、ところどころ子供にもわかりやすくしながらも、しっかりとネタをやり切り、確実に受けているあたり、これは内容云々を超えた「笑い」があることを証明していた。
参加していた子供の中には(小学生高学年かな?)、落語が好きで、YouTubeでいろんな噺をみているようで、詳しい子もいたが、だいたいは、今日、初めて出会った落語という笑いに、単純に「おもろい」と感じたようだった。
こういう芸能体験、思い出せば私自身も小学校に来てくれた記憶がある。確か、笑福亭仁鶴師匠が、はなみずがぶらーん、ぶらーんする噺だったような。
とても、いい時間だった。