マハトマ・ガンジーがボンベイ(現ムンバイ)にいて、そして重ねた偉業。マニ・バワンは、そんな彼が生活した「家」。3階からなる内部はミュージアムになっており、人形や写真、パネルなどでガンジーの生涯を解説する。現地人のガイドをやとった白人一家は、ガンジーの一生を貪るように釘付けで、静かな家の中に響くヒンディアン・イングリッシュに耳を傾けていた。僕は、まず一階にある書斎へ。これは図書室だ。ファンが静かに回り、とても涼しく、そして本のニオイが充満している。ガンジーは、ここで「本」を読み、「本」になった。
ずいぶんと長い間マニ・バワンにいたが、そのほとんどの時間を2階と3階にあるバルコニーで過ごした。1917年から34年、ボンベイを訪れたガンジーが、この場所からどんな景色を見てたのだろう・・・、などを思うと狭い路地裏で迫り来るように建つ隣の建物は、きっとなかったんだろうなぁという気になった。あいにくリノベーション中だったので、外壁一面に足場が組まれ、その上では何人かが作業中だった。だけど、僕はそんな足場も、隣の建物も、部屋の中から聞こえてくるガイドの説明の声も、みんな消し去り90年前にタイムスリップした。彼のあの、白い布が、メガネが、痩せた足が.....力強く見えてくる。あの痩せた身体の強いコトバに......知らず知らず、頷いていた。
2005年09月23日