ひとことで言えば、「ロボット」ってこんなに多彩なのか、に尽きる。
過去最大規模を謳うだけあって、
多彩で多数のロボットをみることができる展覧会だ。

産業用ロボット、人型ロボット、パートナーロボット、
デジタルクローンに至るまで網羅され、
100年以上も前にロボットという言葉が生まれてから(作家カレル・チャペック)、
その定義や概念が変わり、形も多岐にわたってきている、ということがよくわかる。

私が高校生から大学生になるころ、
SonyがAIBOを発売し、
ロボットが固く冷たいイメージから一緒にいるもの(ペット)に変わった。

あの時の衝撃が忘れられない。
その後も二足歩行ロボットが次々に誕生して、
ハイロウズの曲に合わせて歩き回るロボットや、
宇多田ヒカルのPVで踊るロボットなどがあった。

会場に入ってまず、
そんな21世紀をまたぐ時期に登場したロボットたちが「展示」されている。

AIBO(ソニー)、ASIMO(ホンダ)、QRIO(ソニー)、
Posy(フラワー・ロボティクス)など。

そして、トヨタのトランペットを吹くロボット
「トヨタ・パートナーロボット」が最後に鎮座する。
楽器を吹くための「やわらかい唇と指」を持つロボットには、
どこか温かさを感じる。

そして、その段階から10年が過ぎると
Pepper(ソフトバンク)が登場する。
この展覧会でも、Pepperだけは
来場者とコミュニケーションをとっていた。

ゾーンが変わって、
ここからは「にんげんとロボットの関係」を掘り下げる。

まずは、にんげんを助けるロボットたち。
にんげんの体の機能を補助するロボットでは、
足の代わりになったり、腕の代わりになったり。
特に、災害用ロボは、にんげんの代わりに救出に向かう。
まさしく映画やドラマの世界の話が実現したかのよう。
整理券が必要だが、いろんなロボットの体感もできる。
一言でいえば、にんげんの力の拡張。
ここにドローンも含まれていたのが、貴重だ。
にんげんの目(視界)を劇的に広げた。

次のゾーンが一番おもしろい。
ロボットと触れ合う。

小学生の息子は、ここからなかなか離れなかった。
初期のAIBOから、現在のaibo。
この変化(進化)には驚く。
とにかく動作がかわいい、目がいい、そして、鳴き声(音)も。
形といい、動きといい、本当に「買いたい(飼いたい)」と
思わせるロボットだ。

他にも、LOVOTや、アザラシ型ロボット・パロ、
iBonesやQooboが並び、展示されているというより、
一緒に触れ合うことができる。

隣には、おしゃべるするロボットが並ぶ。
一時話題になったシャープのRoBoHoNをはじめ、
む〜、Romi、CommUなど。
感覚としては「Siri」に話しかけているような感じもするが、
形のせいか、コミュニケーションをとっているという感じは高い。

そして、最後。

これまでロボットになかった「温かみ」や「愛嬌」を
得た時代を経て、ついに、「こころ」を持ったロボットたち。
驚くのは、その「形」だ。
人間そっくりの姿。皮膚や瞳がゾッとするほど人間に近い。
この「形(姿)」を得たロボットは、
ゆくゆくは〈いのち〉を持ち、
物理的な死後、
アンドロイドとして生き続ける。

展示会では、『人は2度死ぬ」という2度目、
つまり物理的に死ぬ1度目から、
生き残っている周りが忘れ去る2度目の死。
そうさせないための「ロボット」。
つまり〈続きの心〉を持つ。

夏目漱石、レオナルド・ダ・ヴィンチの姿が、
そして、紅白歌合戦で有名になった美空ひばりのアンドロイドが。
さらにオルツ・デジタルクローンは、
「姿」すらないクローン。
空間に浮かび上がる茂木さんと会話する。

ロボットってなんだ?を考えながら、
そこに「ぼく(私)」がいて、
そういう「未来」まで考えさせられる展示会だった。









































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You and Robots ― What is it to be Human?
きみとロボット ニンゲンッテ、ナンダ?

@日本科学未来館(東京)
2022年8月27日(土)