【フランス料理】
L'ATELIER de Joel Robuchon
(ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション)@六本木
2010年5月22日(土)
“食材そのもののおいしさ・価値を最大限に引き出したシンプルフレンチ”。ジョエル・ロブション氏の料理コンセプトであるそんな「味」を提供してくれるお店。まずは「パン」にその真髄を見たような気がする。美味しいパンが優しい味という直結した数式。つまり「イコール」。それを具現化した味に感嘆する。この「ラトリエ」は、カウンターフレンチという新しい形を提供する店だ。つまりは、カウンター越しに「会話」を楽しみながら、リーズナブルに本格フレンチを味わう。オープンキッチンは、「見せ場」としても客を惹きつける。見せるための「野菜」たちは赤・緑・黄に輝いている。全体に黒と紅で統一したシックな雰囲気も、妙に落ち着けた。サーブするスタッフのにこやかかつわざとらしさのない「自然体」にも感動だ。ハード・ソフトの両面で雰囲気は文句なし。
味。パンで始まった驚きの味が、前菜で笑顔になってくる。ホタテが絶妙で、パスタ風のキュウリが遊び心をくすぐる。季節の野菜と茄子。同時に口の中に放り込むとじんわり広がる味の多面性。なんとも良い。
メインディッシュは子羊とアイナメ、肉と魚をチョイス。白身魚にはこれ以上ないだろうというソースが絡み、烏賊の歯ごたえが嫌味なく主張する。子羊は繊細な味だ。臭みがないなんてことはわざわざ書かない。いや、むしろ、それをも活かした特別な味わいに仕上げている。笑顔になった後のメインで、幸せ感が最高潮になる。
デザート。夏らしい日向夏のジュレは、3層。スプーンを底まであてて、一気に食べる。また、笑顔。個人的には、クレームブリュレが、フランボワーズの酸味とからんで絶妙だった。
久しぶりの、これはもう文句なしの3つ星だ。