Rugby World Cup
ラグビーワールドカップ2019日本大会

2019年9月20日-11月2日開催

東京オリンピックが決まり、新国立競技場のザハ案が座礁し、そんな混乱の中で、
「2020年の前年に、ラグビーワールドカップが日本で行われるので、
その際に、新国立競技場を使いたい」という政治家の声が入ってきて、
一気に寒気、鳥肌、毛嫌いがしたのを覚えている(個人的に)。

あ〜、ラグビーのワールドカップで日本でやるんだ、と認識したのがこの時。
今回で9回目、アジアでの開催は初。次回の記念すべき10回目はフランスで行われる。
ということは、フランスでは、パリ五輪の前年に、
ラグビーワールドカップが行われることになるのか。

それにしても、サッカーワールドカップに比べ、盛り上がらない。
ここ、日本では、むしろ、野球のワールドベースボールクラシックの方が盛り上がっているかもしれない、
というほどの、ラグビーはマイナースポーツだった。
そんな中で放送権をとった日テレだけが、
コンスタントにラグビー情報を放り込んだが、
正直、選手の名前も知らなければ、いまだに、外国人ばかりじゃん、なんて声もきかれた。

ただ、開幕戦をはじめ、多くの試合にスタジアムを提供する
サッカーのFC東京にとっては、
ホームスタジアムの東京スタジアムを明け渡すので、
意識はあったし、そもそも調布を通る京王線では広告も多かった。
今年、ラグビーがあるんだよね、程度で9月にある、
ましてや開幕戦が20日ということを知っている人は
少なかっただろうけど。

が、蓋を開けてみると、さすがはワールドスポーツ。
開幕試合となった日本vsロシアでは、東京スタジアムに、
日本のジャージを着こんだファンが詰めかけた。
そして、緊張で思うように動けなかった選手たちも、
調子を取り戻して見事勝利。ボーナスポイントまでとっての快勝だった。

それに勢いを得て、テレビのゴールデンタイムを含む地上波で、
ラグビーの試合が放送され、世界レベルのプレーに魅了され、
ルールも画面右下の解説を読みながら覚えていき、
ノットアリリースボールじゃん、ジャッカル、ジャッカルなんて
言ってる自分に気づいたり。

大きな転機となったのは、9月28日。
日本が世界チャンピオンのアイルランドに挑んだ試合。
誰もがいい試合をするとさえ思っていない、
だけれ、この四年間、いろんなことを犠牲にして、やってきたという自信。
選手たちにあった「勝つ」という思いが全面に出て、
勝利した瞬間は、鳥肌が止まらなかった。
テレビの視聴率は30パーセントを優に超え、
日本中のパブリックビューイングでもお祭り騒ぎだった。

注目されることのないスポーツ、そして大会。
それをこんなにも引き付けたのは、
変なアイドル的なヒーローでもなければ、
お得な特典付きの小手先の技でもない、
真正面からぶつかるプレー、そして、
それに当たり勝つ強さ。
日本代表の選手たちは、自分たちの力で、
国民の目をむかせた。ここがすごい。
その一つ一つが、信じられないほどホットだ。




その後もサモアに勝ち、
後がなくなくなり、超本気、なりふり構わず襲ってくる
名門のスコットランドにも勝つという大躍進で、
目標としていた予選リーグを首位で突破。
そして、世界のベスト8に入った。
試合終盤の攻防、瞬間最高視聴率が50%を越えた。


リーチ、田村、松島、福岡、他にも名前が次々に出てきて、
日本を代表し、戦ってくれる選手たちにあこがれと崇拝が生まれた。

いつもの都立公園で、息子とサッカーをする休日、
そんな普通の光景にもラグビーが入ってきて、
キャッチボールする親子はゼロなのに、
なんとラグビーボールでパスをしあったりする親子が2組もいた。
これは、本当にすごい変化で、大きな転機になった。

今、明日のベスト4をかけたvs南アフリカ戦を控えている。
この、今の時間がとてつもなくホットだ。
勝つかもしれないという期待、ベスト4への道、
そんな想像が妄想じゃないぞと思わせてくれる。

もう、奇跡なんかじゃない。
日本の赤のジャージが、
オールブラックスの黒のようだ、
と海外メディアは伝えている。


ホット、ホット、ホット。



  





  


調布にあるファンゾーンで、サッカーボーイの息子も、
テレビや大画面で見るラグビーのプレーに感化されて
ラグビーボールでパスをしあい、
トップリーグの選手がイベントに参加してくれたトライゲームに、
笑顔で、真剣に楽しんでいた。

改めて、自分たちの力で、プレーのスタイルで、勝利で、
ここまでホットにしてくれたことに感動する。