星野リゾートが、東京の丸の内、つまり大都会のど真ん中に「星のや東京」をオープンした今年、このコトバが、なんだか再注目されているような気がする。

アマンやフォーシーズンズ、シャングリ・ラ。海外の「ホテル」がアメリカンタイプの共通スタンダードで「高級」をお金で売る時代、星のやは、あくまでも「旅館」で勝負している。それも、日本人向けではなく、増え続ける訪日外国人観光客に向けて。

旅館とは、畳に温泉、仲居さんが世話をしてくれて、基本的にはお部屋で食事も出来るスタイル。浴衣が提供されて、敷地内はもちろん、旅館の敷地を飛び出しても、そぞろ歩きできるのが魅力だ。

布団は、敷かれ、あげられ、鍵をかけっぱなしのホテルとは、そこが違う。とはいえ、バリ島のフォーシーズンズホテルなどでは、一日に三回、ベッドメイクに来てくれるので(出かけている間に)、とても日本の旅館に近い。

日本の「おもてなし」がコンシェルジュ的なスタイルになって、どこか世界基準に肩を並べて、であるなら、せっかく東京に来てくれる外国人にも旅館の世界を提供しよう、というのは分かりすぎるぐらいに分かる。日本人にとっても、別世界・和の空間・和のおもてなし。その品と質に、日常を離れてくつろげるに違いない。

旅することは、観て食べて、しゃべって買って、といろいろあるが、バックパッカーですら泊まるというのは、比重が大きい。それは、一人旅なら、だれかと知り合える場所であり、情報交換の場であり、友人同士や家族、カップルなら、泊まることは最初から最後までの基本だからだ。

旅館が、温泉と常にくっついて言われているような昨今、もちろん湯は宿の命ではあっても、それだけではない空間を作り出して欲しい。

とにかく、旅の中において、最初から最後までの基本である泊まること(宿・旅館)は、非日常を演出し、どっぷり疲れる異空間なのだから。これから、RYOKANスタイルが、世界にどれだけ浸透するか、楽しみである。



2016.08.28記







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