もしも、ここに「ハングル文字」がなければ、ニッポンのどこか洒落た街の一角だと思ってしまいそうな。コンクリートやレンガの壁、ショーウインドウと階段。一本中に入った路地では、お茶屋さんのような「落ち着き」があったりもする。と思えば、ニューヨークスタイルのイタリアンレストランは、ちょっとした隠れ家風でアートと同居したスタイリッシュな顔を持ち。向かいのテーブルにフランス人カップルが座り、「ウィ」なんて金髪をかき上げると、東京で見たような光景に……ついつい「すいませ〜ん」なんて日本語で店員を呼びそうになってしまう。
ソウルのサムチョンドンは、とても清々しい風が吹いていた。
読書が合いそうな雰囲気を持っていた。
それは、ガヤガヤとかモクモクとか、なんというかそう言う「激動」のない、アスファルトの上を自動車さえすべって通っているかのような。並木のせいかな。分からないが、そういう「程よい静」と「ちょうどいい動」をバランスよく持った所だ。
だいたいの店が11時amから始まるらしく、日曜の朝ともなると人が少ない。絶対的にそういう時間帯がねらい目で、そもそもこの街の造りから言って団体様ご一行を向かい入れる風にはできていない。
買い物もレストランも、そしてアートまであるサムチョンドン。
いつか代官山のようになったりするんだろうか…。