古い蔵を改装して創り上げた空間美に、まずは感嘆する。ドアを開けて一歩踏み入れたら、そこから真ゆきの時間は始まる。京都でよく見るシンプルでありながら、こだわり抜いた空白がそこにはあり、カウンター越しに眺める光景がうっとりさせてくれる。
一本、一本、丁寧に焼き上げられる串は、まるでフレンチのそれのような、店主の手さばきも含めて素晴らしかった。おまかせのコースのみで、予約は必須。18歳以下の入店を断るだけあって、ここには大人の食の楽しみを共有する時間がある。まずはビール、そこから、串に合わせて日本酒やワインを頂けるスタイルで、私はひたすら赤ワインを頂いた。どの串にもぴったりだった。
まずはささみの大葉巻きから。とにかく美しい。そして、口に入れると驚く程の柔らかさ。始まりの一本から、しっかりと、その丁寧さとこだわりを感じる。次にせせり。もう串をつかんで口に入れる前から美味しいビジュアル。そして食べて、思わず笑顔になる。3本目は油揚げ。このタイミングで変化球ともとれる串を出す当たり、なかなか憎い。そして、めちゃくちゃ旨い。
この日の赤ワインは、南アフリカのKRUGER。焼き鳥にぴったりの超ナチュラルな味わいだった。続いてハツ。今まで食べたハツとは全くの別物。もしかしたら、聞き間違えたのではないかと、今でも思うほど。そして、かしわ(もも肉)。この差の付きにくい部位を、しっかりと特別なものにしてくれるあたりが、本当に素晴らしい。
次のレバーは驚きだった。柔らかいのはもちろんだが、しっかりとクセを残しているのに、レバーが苦手な私も美味しく頂けた。赤ワインが、とにかく合った。続いて野菜串。この日は赤カブ。甘くて、歯ごたえがちょうど良く、野菜も、これだけ丁寧に仕上げれば、こんな味になるのか、と。そしてぼんじり。個人的には一番の串だった。いやぁ、旨かった。砂肝は、コリコリ感の奥にしっかりした味わいがあり、この辺りでワインは3杯目に入っていた。
スープにこそ名店の味は出る。このタイミングで頂くのがベストだった。最後は、つくね。こちらも文句なし。日によっては、手羽先やちょうちん、ししとうも出るということで、ここはまた訪れたい店になった。
【焼き鳥】
焼鳥 真ゆき @富山
2022年11月19日
■おまかせコース(10本) 5,000円
ワイン(グラス) 1,100円〜