三十三間堂
Kyoto, Japan
正式には蓮華王院、正面の柱間が三十三あることから通称「三十三間堂」。京都の東大路を下がって七条までくるとある。最近では、和モダンを極めたハイアットリージェンシーなどのホテルもあり、隣には建物だけでも見る価値がある京都国立博物館。近くに駅があったらもっと人出も増えるのになぁ、とか。智積院で長谷川等伯を堪能したりも、ついでにできる立地にある。
まず、正面を入るとなが〜いお堂が。このお堂、総檜造りで約120メートル続く。そのお堂の前には日本庭園が広がり、一際目を引く朱の門が、なんとも「和」な雰囲気だ。お堂に入ってから歩くもよし、入る前に、このお堂の側道をぶらぶらと歩いて、「興奮度」を上げていくのも、ひとつの見方。
お堂に入ると、もう口はあきっぱなしの口。ずらりと整列した「十一面千手千眼観世音」を横側から見る。中央の中尊(巨大な大仏)を正面にみて、まずは左側に並ぶ観音立像を見る。それぞれ「かおのちかった」立像。それが約500体続く。一体一体の頭には十一の顔、そして手にはいろんなものを持っている。それを一つずつみていると、一日あっても足りない。後ろの列の立像は、はっきり顔さえ見えない。塊として圧倒され、それに酔いしれる、というのが「見方」かも知れない。その千手観音の前には、風神・雷神像をはじめ、ヒンズー教やゾロアスター教を元にした像が並び、各々詳しい説明パネルがある。それを読みつつ、「無限」のように広がる千手観音を眺めつつ。
線香の匂いが濃くなってくると、ようやく中央。中尊は、立像ではなく坐像。蓮華の上にどっしりとあぐらをかいた巨像がある。ちょうど僧侶がお経をあげていた。
そこからまた左側の立像群。それも約500体。つまりここには、立像が1000体、坐像が1体の、合計1001体のご本尊をかかえるお堂なのだ。できたころは全面朱に塗られたお堂。中には色とりどりの彩色があったとか。白壁に朱色の柱。その中に金ぴかの1001体の千手観音。想像しただけで、これは凄まじい光景だ。よく日本の和の美は、わび・さびに代表されるように「わかりにくい」。外国人は「でかい!」とか「多数」とか、そういう分かりやすいものが好きなので日本よりも中国に行く。そんなことを聞くが、この三十三間堂の1001体のご本尊。圧倒されるのに「こむずかしい美」はいらない。ただただ口をあけていればよし。だ。
↑この千手観音群の写真のみ、堂内土産物売り場のポストカードより。