ニューヨークが生んだ伝説
写真家

ソール・ライター展
Bunkamura ザ・ミュージアム(渋谷)
2017年6月3日(土)

名前を知ったのは、ポスターにも使われている写真「雪」を見たとき。なんとも有りそうで、なかった写真の数々に、見れば見るほど引き込まれた。世界的にも、このソール・ライターという写真家に対してはそんな感じで。モノクロで撮り続けた写真の時代を終え、カラーで撮り始めてから名声を得た。モノトーンの世界に、ポッと浮かぶ「カラー」。または、カラーの世界にポッと存在するモノクロ。このバランスが素晴らしい。画家ライターとして、絵心が写真に出ている、特にその色彩感覚に。

まずはモノクロ写真。「ファッション」と「ストリート」に大別された展示構成。1940年代から1950年代の写真が並ぶ。特に、ニューヨークという大都市の、その頃のファッショやストリートに、目が奪われる。『ソームズ・バントリー』『Harper's Bazaar』『無題』などが並ぶ。どれも白と黒のバランスが絶妙だ。そのままストリートへと流れると光の加減が絶妙な『雨』、雑誌に使われた『靴磨きの靴』などが続く。個人的には『サンクス・ギヴィング』『地下鉄の女性』『背中』など都市で生きる人達の哀愁をとった写真は好きで、『ペリー・ストリートの猫』は可愛く、『フラワー・マン(背振る・ポートレート)』は一番好きなモノクロの世界だった。

そして、ソール・ライターの真骨頂。カラー写真へ続く。『足跡』の赤い傘は、今でこそ見慣れたものだが、1950年頃当時には、圧巻の色彩感覚だったに違いない。『散歩』、『赤信号』『板のあいだ』など、オモシロイ構図、そしてセンス溢れた一枚が続く。この辺りに来ると、気持ちがいい!とテンションが上がってくる。ソール・ライターの名を世界に知らしめた写真週『Early Color』を買いたくなる。

『荷物』『雪』『看板のペンキ塗り』『T』『天蓋』『床屋』など、見たことのある写真が続く。これだけ並ぶと、何とも爽快だ。

モノクロ、カラーの作品が終わると、画家としてのライターが続く。そのままヌードへと続くと展覧会は終わる。そこから、もう一度みたい写真まで戻り、じっと見て、ふっとよそ見して、また見る。やっぱりいい。このカラーの世界。ニューヨークという光景も手伝ってか、とても「生き生きしたモノが」多い。

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