泉涌寺
Kyoto, JAPAN
清泉涌き出る地、東山三十六峰の一嶺の麓で静かに佇む御寺。山の木々が紅く燃える秋、お隣の東福寺と並びここは疑う余地のない絶景になるが、あえて緑深い夏の終わりに避暑がてら歩くのが一番良いと思う。人が少ないこと。それに限る。
門をくぐり、なだらかに下る砂利道。両サイドの木々の間からのぞく仏殿。この建物としての美、そして重みのある重量感。なにより、借景にとけ込んだ絶妙なバランス。京都の数多い寺の中で、純粋に建物としての綺麗さは五本の指に入ると思う。仏殿内の三尊仏(阿弥陀・釈迦・弥勒)は運慶(伝運慶作)らしく非常に繊細で存在感がある。蓮の花の上の三尊は、穏やかな表情だ。
奥の舎利殿をみたら右側へ折れて楊貴妃観音像へ。この仏様の美は、誰もがなっとくでは?朱の混じる豪華さと厳かさは京都ならではの落ち着いた美しさが感じられる。
満月の夜、燈籠のぼんやりした明かりの庭から、秋の夜長を……、なんて、日本人ならではの絶景も楽しめる(期間限定)。
残暑厳しい2009年9月5日、泉涌寺にて撮影。
京都駅からの無料シャトルバスあり。
秋の期間中、燈籠・ライトアップあり。